2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590416
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
谷本 昭英 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (10217151)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹栗 靖之 産業医科大学, 医学部, 教授 (60140646)
|
Keywords | 動脈硬化 / ヒスタミン / ヒスタミンレセプター(HR) / ヒスチジン脱炭酸酵素(HDC) / HDC/apoE-KOマウス / HR/apoE-KOマウス / スカベンジャー受容体 / 炎症因子 |
Research Abstract |
ヒスタミンシグナルの欠如による炎症反応の変化と動脈硬化 動脈硬化血管壁でのヒスタミンを介した遺伝子制御シグナルと動脈硬化の関連について、apoE-KOマウスとヒスタミン受容体欠損マウス(H1RおよびH2R)あるいはヒスタミン合成酵素(HDC)欠損マウスを交配した2重欠損マウスを作成して検討した(apoE-H1R-DKO,apoE-H2R-DKOおよびapoE-HDC-DKOマウス)。大動脈の動脈硬化は、高コレステロール食(最長12週間:1.25%コレステロール、15%ラード、0.5%コール酸)投与による粥腫モデルを用い、各マウスについて肉眼および病理組織学的評価とともに、動脈硬化関連の多数の炎症因子の遺伝子発現をRT-PCRなどで検討した。 高コレステロール食により、apoE-H2R-DKOおよびapoE-HDC-KOマウスでは、apoE-KOマウスと比較して重篤な高脂血症(高LDLコレステロール血症)を呈するにも関わらず、大動脈の粥腫硬化病変の形成はむしろ有意に抑制されていた。また、動脈硬化病変での炎症を惹起する多数の炎症性サイトカイン、スカベンジャー受容体、マトリックス分解酵素の発現は明らかに減少していた。つまり、apoE-KOマウスを背景にした粥状動脈硬化モデルにおいては、ヒスタミン2型受容体を介したヒスタミンシグナルが、粥状動脈硬化の血管壁での炎症反応の制御を介して病変の形成および進展に重要な働きをしており、抗ヒスタミン薬による動脈硬化の進展抑制の可能性を示唆する基礎的なエビデンスと考えられた。
|