2010 Fiscal Year Annual Research Report
悪性胸膜中皮腫の増殖に対するTGF-βシグナルの役割と治療への応用
Project/Area Number |
20590420
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
藤井 万紀子 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 主任研究員 (70406031)
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Keywords | 悪性中皮腫 / TGF-β / YAP / CTGF |
Research Abstract |
本研究の目的は、悪性中皮腫罹患患者の胸水中に高濃度で存在することが報告されているTGF-βが悪性中皮腫の細胞増殖に関して、どのような役割を発揮するかを検討し、更にTGF-βシグナル伝達系の関与および下流制御分子との相互作用を明らかにすることによって、TGF-βシグナル阻害剤が悪性中皮腫治療に有効であるかどうかをin vitro、in vivoレベルで明らかにすることにある。 悪性中皮腫細胞の増殖では、いくつかのがん抑制遺伝子の欠失が報告されており、代表的なものとしてp14^<INK4a>/p14^<ARF>, neurofibromatosis type2(NF2)がある。一方、悪性胸膜中皮腫の患者の胸水中ではTGF-βの濃度が上昇することが知られており、TGF-βの悪性中皮腫細胞に対する細胞増殖促進能が示唆されている。当該年度の研究では、悪性中皮腫で高頻度に欠失の認められるNF2やNF2に制御を受ける下流のHippo pathwayとTGF-βシグナル伝達系がどのような相互作用を行うかについて重点的に研究を行った。 我々はYAPがSmad3と結合し、CTGFタンパク質発現を調節することを見出した。興味深いことに、YAPが関与しSmad3と協調的に転写を促進する標的遺伝子は限定的であり、Smad7、MMP2、fibronectinなどはYAPには影響を受けない。CTGFのプロモーター領域には特殊な配列があり、Smad3、YAP、p300がその領域において複合体を形成し、転写を促進すると考えられた。 (論文投稿中)
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