2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590421
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鈴江 一友 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 講師 (00333485)
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Keywords | マラリア / 防御免疫 / 免疫記憶 / マウス / ワクチン |
Research Abstract |
免疫学的特異性は免疫応答における最も重要な性質の一つであり、この性質が守られなければ、外来抗原とは全く無関係な免疫応答をしてしまい、その結果自己免疫疾患などの原因となりうる。我々はマラリア感染において、この免疫学的特異性を無視した病原体非特異的な免疫応答を起こすことを見出した。一般にマラリアになっても免疫が出来にくく、このためワクチン開発をより困難なものにしているが、この「免疫が出来にくい」という性質と我々の見出した「病原体非特異的な免疫応答」とがどのように関連しているのかを追究した。まずPlamodium berghei NK65株 (以下NK65) の弱毒株であるP. berghei XAT株 (以下XAT)をC57BL/6野生型マウスに感染させると、NK65感染の場合と同様にT細胞の活性化マーカーCD62Lの変動が認められ、弱毒株の感染においても強毒株の場合と同様に病原体非特異的なT細胞の応答が認められた。またXAT感染マウスとNK65感染マウスとの各種サイトカイン生産に差があるかどうかをELISA法によって調べたところ、両者間において主要なサイトカインの生産に差は認められなかった。XAT感染において病原体非特異的免疫応答が認められるにもかかわらず、強い免疫記憶が生じることから、防御免疫応答や免疫記憶の生成は病原体非特異的免疫応答によってほとんど阻害されないことが考えられる。XATによる強い防御免疫応答とその後の免疫記憶は、XAT固有の感染様式もしくは物質によって生じる可能性が示唆された。
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