2009 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫リンパ球と樹状細胞の協調的制御によるマラリア原虫感染防御機構の成立機序
Project/Area Number |
20590428
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
小林 富美恵 Kyorin University, 医学部, 教授 (20118889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新倉 保 杏林大学, 医学部, 助教 (30407019)
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Keywords | マラリア / 防御免疫 / T細胞 |
Research Abstract |
マラリア原虫感染経過に伴う各種免疫担当細胞、特に樹状細胞(DC)サブセットの動態について、Plasmodium berghei XAT(弱毒株)感染マウスの脾臓に存在するCD11c^<high>B220^-のconventional DC (cDC)と、CD11c^<int>B220^<high>のplasmacytoid DC (pDC)、さらにCD11c^<int>B220^<int>細胞の総数が、P.berghei NK65(強毒株)感染マウスと比較して原虫血症の急性期と下降期に増加することをこれまでに見出している。解析を進めると、弱毒株感染ではCD11c^<int>B220^+細胞の増殖率が特に高く、このポピュレーションはmPDCA-1^+細胞を高率に含んでいた。そこで抗Ly6G/C抗体のin vivo投与実験により、弱毒株感染において樹状細胞のうちpDCを除去した場合に感染動態がどのように変化するのか検討した。即ち、マウスへの原虫接種前と接種後4日目に抗Ly6G/C抗体を腹腔内投与した群と、コントロール抗体を投与した群の各々の群について原虫血症の推移などを調べた。P.berghei XAT感染では感染後約1週目に原虫血症の第1ピークを、約2週目に第2ピークを示すが、抗Ly6G/C抗体投与群では感染初期の原虫の増殖がコントロール群よりも抑制されていた。抗Ly6G/C抗体はpDC以外に好中球などの顆粒球とも反応するのでさらなる検討が必要であるが、これらの細胞はP.berghei XAT感染においてはprotectiveに作用することが知られているので、pDCが本原虫感染初期に何らかの機序により一時的に感染増悪に関与する可能性も示唆され、マラリア原虫感染防御免疫の研究に新たな展開を期待出来ることとなった。
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