2010 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫リンパ球と樹状細胞の協調的制御によるマラリア原虫感染防御機構の成立機序
Project/Area Number |
20590428
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
小林 富美恵 杏林大学, 医学部, 教授 (20118889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新倉 保 杏林大学, 医学部, 助教 (30407019)
井上 信一 杏林大学, 医学部, 助教 (20466030)
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Keywords | マラリア / 防御免疫 / T細胞 |
Research Abstract |
γδT細胞によるマラリア原虫排除機構を解明するため、Plasmodinm berghei XATに感染した野生型(WT)マウスとTCRδKO マウスの比較をおこなった。その結果、血中 IFN-γが感染TCRδ KO マウスにおいて低下している事が明らかとなった。主なIFN-γ産生細胞であるヘルパーT細胞(CD4^+T細胞)のTh1細胞への影響を調べたところ、感染TCRδ KOマウスでTh1 細胞におけるIFN-γ産生の割合が低下していることがわかった。さらに、感染WT マウスの脾臓では、このTh1細胞のIFN-γ産生の誘導に先立って、γδ T細胞のIFN-γ産生が活性化されていることを明らかにした。すなわち、γδ T細胞はナイーブT細胞からTh1 細胞への分化誘導を促進する役割を担っていることが示唆された。 Th1細胞への分化は樹状細胞(DC)によっても促進されるため、γδ T細胞のDCの成熟への影響ついても検討した。感染 WT マウスでは脾臓中のconventional DC、plasmocytoid DC が一時的に増加することがわかった。また、それと同時にMHC-IIや共刺激分子であるCD80,CD86,CD40などの発現が一時的に上昇することがわかった。感染TCRδ KO マウスを同様に解析し比較すると、DCの増加やMHC-IIや共刺激分子の発現上昇が弱くなっていることが明らかになった。すなわち、γδ T細胞はDCの成熟・活性化に重要な役割を担っていると言える。先述した、感染後のγδ T細胞におけるIFN-γ産生の活性化の始まりは、DCの増殖や成熟とほぼ同時期であり、γδT細胞とDCが協調的に活性化を行っている可能性が示唆された。マラリア原虫感染におけるγδT細胞とDCの関係性についてはいまだに未解明のままである。本研究の結果はその一端を明らかにした重要なものといえる。
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