2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内寄生原虫感染における炎症反応亢進と感染防御に関わるマスト細胞機能の解析
Project/Area Number |
20590430
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
上田 たかね 帝京大学, 医学部, 助教 (80459312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斧 康雄 帝京大学, 医学部, 教授 (10177272)
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Keywords | BMMC / TNF-α / マウス好中球 |
Research Abstract |
マウス骨髄由来マスト細胞(BMMC)を、in votroでT.gondii強毒株live tachyzoitesと共に24時間まで培養した結果、4時間後から培養上清中にTNF-αが検出され始め、その量は経時的に増加していた(4時間後で約10pg/ml、24時間後で45pg/ml)。一方で同数のdead tachyzoitesによる刺激ではTNF-αの産生は観察されなかった。刺激後1時間から3時間における培養上清中のTNF-αは検出限界以下であった。 またlive tachyzoites刺激により、BMMCのTNF-α遺伝子発現は未刺激時と比べて、4時間刺激時で約3.3倍増強していた。しかしこの遺伝子発現増加はその後低下した。T.g刺激を受けたBMMCの遊走能についてTranswellを用いて調べた結果、live tachyzoitesの存在するwellでは、対照の培養液に比べてBMMCの滲出が1時間後から有為に観察されたが、dead tachyzoitesに対してはBMMCの有為な遊走は見られなかった。遊走能については4時間まで観察を行い、live tachyzoitesの部位へ滲出するBMMC数は経時的に増加していた。これらの結果からBMMCはlive tachyzoitesからの分泌分子か、その表面に局在している分子に応答して細胞内に貯留していたTNF-αを放出している可能性が示唆されたが、大腸菌のLPSで刺激した時に放出されるTNF-α量に比べるとその分泌量は少なかった。マスト細胞から放出されるTNF-αが好中球の遊走を誘引するかどうかについてTranswellの上層にマウス好中球を入れ、下層のBMMCのみ、BMMCとlive tachyzoitesに対する好中球の遊走能を調べた結果、BMMCのみに比べ、live tachyzoitesで刺激されているBMMCの方が4時間後で約3.5倍の好中球数の遊走が観察された。マスト細胞数は好中球やマクロファージに比べて多くは無い為、感染初期にT.g tachyzoitesに応答しTNF-αを放出するが、以後はそのTNF-αや他のサイトカインの影響を受けて好中球やマクロファージが次々に滲出すると同時にIL-12などの炎症性サイトカインを放出しさらに活性化され、炎症反応の増強に到ると考えられる。
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