2009 Fiscal Year Annual Research Report
腸管寄生線虫の定着と排除を規定する寄生虫側に発現するリガンドの同定
Project/Area Number |
20590433
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
石渡 賢治 Jikei University School of Medicine, 医学部, 准教授 (00241307)
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Keywords | シアル酸 / 粘液 / 感染防御 / 腸管 / 寄生線虫 / 定着 / 排除 / 免疫 |
Research Abstract |
1)免疫学的に排除される腸管寄生線虫、Nippostrongylus brasiliensisに結合している宿主由来物質の解析 免疫応答によって腸管腔に分泌される物質がN.brasiliensisに結合して、あるいは取り込まれることで虫体の排除が誘導されている可能性が高いことから、排除される虫体表面に結合しているマウス由来物質の検出を二次元電気泳動で解析した。その結果、排除される虫体のみに明確に認められ、排除されない虫体には認めないスポットは検出し得なかった。排除誘導物質は虫体に生理的に作用していると考えられ、取り込まれている場合についてさらに解析を続けている。 2)N.brasiliensisを排除する時期の粘液の糖鎖解析 N.brasiliensisを排除している時期(感染後9日)と未感染時期の粘液について、レクチンアレイによる糖鎖解析を実施した。その結果、これまでレクチンの組織染色で得られた結果とほぼ同様の結果を得た。すなわち、排除期の粘液糖鎖は未感染時のそれに比してフコースおよびシアル酸に富んでいた。さらに、O-結合型糖鎖に関してはN-アセチルガラクトサミンの結合様式に増減が認められた。組織染色ではシアル酸の結合様式がα2,3型であることと排除に相関を認めたものの、今回の結果はα2,3型では変化を認めず、α2,6型での増加であった。ただこのα2,6型の増加はO-結合型糖鎖に限局したものではないため、さらな検討が必要である。現在、質量分析機を用いた糖鎖の網羅的解析を検討中であり、また場合によっては解析し終えた糖鎖をさらにそのままin vivoあるいはin vitroの実験に応用できるかどうかについて検討中である。 上記結果は材料と方法が入手容易なために、投稿準備が整うまで学会発表を控えている。
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