2010 Fiscal Year Annual Research Report
腸管寄生線虫の定着と排除を規定する寄生虫側に発現するリガンドの同定
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20590433
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
石渡 賢治 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (00241307)
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Keywords | シアル酸 / 粘液 / 感染防御 / 腸管 / 寄生線虫 / 定着 / 排除 / 免疫 |
Research Abstract |
腸管寄生線虫の定着と排除に関わる分子の同定のために、ネズミの寄生虫であるNippostrongylus brasiliensis(Nb)のマウス感染系を使用している。研究代表者はこれまで、腸管粘液の主成分であるムチンの糖鎖末端にシアル酸が付加することが、Nbのマウスからの排除に深く関わることを示してきた。本研究では、寄生虫(Nb)側のシアル酸結合分子(リガンド)とその局在を探索・同定することで、粘液ムチンの糖鎖変化の感染防御への関わり方を分子レベルで明らかにすることを目的としている。 1) 粘液糖鎖の解析 ムチンのシアル化が、どのような糖鎖に対して起きているかを明らかにするために、粘液の糖鎖組成を質量分析器で解析した。ムチンの糖鎖は多くがO結合型であるので、ヒドラジン分解後、BlotGlyco^Rで糖を精製し、MALDI-TOF MS解析した。その結果、未感染粘液に比してフコースの高発現が認められた。前年度までの組織切片上でのレクチンの結合性、あるいはレクチンアレイ(45種類のレクチンへの結合性を検索)解析では、フコースに加えてシアル酸の発現亢進をも認めているが、それはムチン中のN結合型糖鎖における変化の可能性が強く示唆された。 2) 寄生虫側のシアル酸リガンド探索 還元末端を介した糖鎖固定化法と非特異吸着を抑制する特殊表面処理によって、糖鎖リガンドの探索が可能となった。この方法を用いて、Nb虫体の抽出物中のシアル酸リガンド検出を検討中である。 3) 超小型内視鏡による腸管腔内における寄生動態の観察(リガンドを検証する実験系の開発) 本学高次元医用画像工学研究所の鈴木直樹教授の開発した小型内視鏡は、市販の小動物用内視鏡に比して特段に小型かつ高解像度で、マウス小腸でのNbの動態観察が可能となった。しかしながら、空気で内腔を広げる必要性、長期麻酔下での観察に向けた条件設定など検討課題を残した。
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