2008 Fiscal Year Annual Research Report
病原真菌クリプトコックス細胞の生存と死の分子解析:細胞周期制御と真菌細菌相互作用
Project/Area Number |
20590437
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
川本 進 Chiba University, 真菌医学研究センター, 教授 (80125921)
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Keywords | 真菌 / 感染症 / 細胞周期 / 遺伝子 / 蛋白質 |
Research Abstract |
真核生物で細胞周期制御に関わる中心分子としては、サイクリン依存性タンパク質リン酸化酵素及びその制御因子サイクリン分子が知られているが、我々は病原真菌Cryptococcus neoformansよりそれらを分子クローニングして構造機能解析を進めている。今年度、主に、モデル酵母S. cerevisiaeのGlサイクリン変異体へのC. neoformansGlサイクリン遺伝子の導入と解析を進めた。S. cerevisiaには、3種の、いわゆる、Glサイクリン分子が知られており、それぞれの欠損変異体に、我々がクローニングした1種類のC.neoformansGlサイクリン遺伝子(それが本菌では唯一のGlサイクリン遺伝子と想定している)を導入したところ、それらの増殖曲線はほぼ野生型と同程度に回復したが、細胞の形態については、一部異常が見られ、本菌の細胞周期制御機構におけるGlサイクリン遺伝子の機能についてさらに考察を進めた。また、我々はC. neoformasと他の菌種との相互作用に着目したところ、細菌・黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus細胞がC. neoformansへ付着し、C. neoformansの死滅が誘導される現象を兄いだし、両細胞の付着に関与する各細胞表層物質の解析を行った結果、C. neoformans側では莢膜多糖類の主成分グルクロノキシロマンナン(GXM)が、S. aureus側では解糖系酵素トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)が相互作用に関わっていることを示している。そこで、今年度、主にGXMのS. aureus細胞への結合を免疫電子顕微鏡法により検討した。すなわち、S. aureus細胞とGXM、抗GXMウサギ抗体、金コロイド標識プロテインAを順次反応させ走査電子顕微鏡で観察した。その結果、S. aureu細胞表層にGXMとの反応を示す金粒子が観察された。しかし、さらに最適な反応条件を検討して設定する必要があった。
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