2009 Fiscal Year Annual Research Report
病原真菌クリプトコックス細胞の生存と死の分子解析:細胞周期制御と真菌細菌相互作用
Project/Area Number |
20590437
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
川本 進 Chiba University, 真菌医学研究センター, 教授 (80125921)
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Keywords | 真菌 / 感染症 / 細胞周期 / 遺伝子 / タンパク質 |
Research Abstract |
真菌Cryptococcus neoformansは、エイズ患者の直接死因としても重要な病原酵母であり、野外,動物体内という極めて異なる環境において生存する能力を有する。平成21年度には、C.neoformansの細胞周期制御の中心に位置するCdk1ホモロッグ(サイクリン依存性キナーゼ1)とそれに相互作用するサイクリンホモロッグをゲノムから見出しこれらの遺伝子の構造機能解析を更に進めた。G1サイクリンは1つCnCLN1破壊株の細胞は異常な形態を示し、幅広く細胞の形態形成や生理的機能に影響を及ぼし、本菌にとって極めて重要な遺伝子であることが示唆された。また、Agrobacterium法を用いて病原酵母C.neoformansのランダム挿入遺伝子変異体ライブラリーを構築し、構築した遺伝子変異体クローンの低酸素状態への応答解析などを通して、低酸素ストレス応答に関与する候補遺伝子を探った。候補遺伝子が数個、確認され、遺伝子配列解析およびデータ検索を行って候補遺伝子を同定した。そして特に、そのうちの1遺伝子について本菌の低酸素ストレスに対する環境応答のシグナル伝達機構における意義につき、これまでの文献からの情報を踏まえて、考察を加えた。更に、我々は真菌・C.neoformans細胞と他の菌種細胞との相互作用に着目したところ、細菌・黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus細胞がC.neoformansへ付着し、C.neoformansの死滅が誘導される現象を見いだし、分子的解析を進めているが、一般的に細胞質に局在して機能していると言われる解糖系酵素トリオースホスフェートイソメラゼTriose phosphate isomerase(TPI)がブドウ球菌では細胞表層にも確かに局在することを免疫電子顕微鏡解析法や細胞凝集反応などを用いて実験的に確認することを目指し、我々のこれまでの想定どおり、TPIがブドウ球菌では細胞表層にも確かに局在することを、実験的手法により明白に示した。
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