2009 Fiscal Year Annual Research Report
長鎖脂肪酸による細菌の膜機能モジュレーションによる病原性制御
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20590443
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
井上 哲圭 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20223258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 照夫 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80304327)
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Keywords | 脂肪酸 / 縁膿菌 / swarming / 運動性 / ラムノリピッド / サーファクタント |
Research Abstract |
一部の分岐鎖脂肪酸および不飽和脂肪酸の添加により、緑膿菌PAO1株のswarming運動性が顕著に抑制される機構に関し、本年度は、細胞外サーファクタント産生に関わるラムノリピッド産生系を重点的に調べた。1.ラムノリピッド合成系欠損株でのサーファクタント活性:ラムノリピッド合成系のうち、rhlA遺伝子変異株ではその合成中間体HAAもラムノリピッドも共に合成されず、サーファクタント活性は認められない。そこで、HAAは合成するがラムノリピッドは産生しないrhlB遺伝子変異株を作製したところ、本株では、細胞外サーファクタント活性がわずかに検出された。これはHAAのサーファクタント活性が検出されたものと考えられる。分岐鎖脂肪酸添加条件ではサーファクタント活性が完全に消失することはわかっているため、脂肪酸はラムノリピッドに加え、HAAの細胞外産生量も抑制することが判明した。2.rhlAB遺伝子を発現するプラスミドを緑膿菌に導入し、脂肪酸の影響を観察した。その結果、本プラスミドを導入した菌株では脂肪酸存在下においてもswarmingが観察され、rhlAB遺伝子を組み込んでいないプラスミドのみの場合はswarming抑制が観察された。rhlAB遺伝子はゲノム上でオペロンを構成している。以上のことを考慮すると、脂肪酸による緑膿菌のswarming運動の抑制にはラムノリピッド合成系の発現抑制が密接に関与しているものと推察された。現在、遺伝子発現解析の準備を進めている。3.各種脂肪酸の緑膿菌および薬剤排出ポンプ破壊株の増殖への影響:11種類の飽和、分岐鎖、不飽和脂肪酸を用いて検討した。ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸が最も増殖抑制効果が高かった。また、野生株と用いた薬剤排出ポンプ欠損株との間で脂肪酸に対する感受性の顕著な差は認められなかった。
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