2008 Fiscal Year Annual Research Report
オリゴ糖複合体形成に伴う分子相同性:カンピロバクター感染後性神経疾患での証明
Project/Area Number |
20590446
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
古賀 道明 Yamaguchi University, 医学部附属病院, 助教 (60383014)
|
Keywords | 分子相同性 / ガングリオシド / カンピロバクター / ギラン・バレー症候群 |
Research Abstract |
微生物と生体組織成分との間に存在する分子相同性により発症すると考えられている自己免疫疾患は多いものの、証明された例は少ない。本研究では、分子相同性の重要性を示す新たなパラダイムとして、複数の病原体成分が複合体を形成することで、はじめてヒト生体組織との間に分子相同性を有する構造が作り出され、自己免疫疾患が惹起されることを、Campylobacter jejuni腸炎後ギラン・バレー症候群(GBS)を例にして証明することが目的である。 今年度は、糞便よりC.jejuniが分離培養されたGBS119例を対象に、血中自己抗体(=抗ガングリオシド抗体)を測定した。その結果、20例(17%)でGM1とGD1aとによるガングリオシド複合体に対するIgG抗体(抗GM1/GD1a複合体抗体)が検出された。健常者105例や疾患対照患者83例では本抗体はいずれも陰性であった。さらに、抗GM1/GD1a複合体抗体陽性例のなかでも、単独のGM1やGD1aに対するIgG抗体が陰性である例は5例存在した。これら5例全例で、GM1やGD1aとは異なる糖鎖構造を有するGM1bに対するIgG抗体が検出された。 以上の結果は、C.jejuni上に存在するGM1様構造とGD1a様構造とが複合体を形成することで新たな標的抗原(=GM1bエピトープ)が形成され、これによって自己抗体が誘導された可能性を示すものである。今後は、抗GM1/GD1a複合体抗体が検出されたGBS症例から分離されたC.jejuni菌体上にGM1様構造とGD1a様構造とが存在するか検証する必要がある。
|
Research Products
(13 results)