2010 Fiscal Year Annual Research Report
オリゴ糖複合体形成に伴う分子相同性:カンピロバクター感染後性神経疾患での証明
Project/Area Number |
20590446
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
古賀 道明 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (60383014)
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Keywords | 分子相同性 / ガングリオシド / カンピロバクター / ギラン・バレー症候群 |
Research Abstract |
本研究では、分子相同性の重要性を示す新たなパラダイムとして、複数の病原体成分が複合体を形成することで、はじめてヒト生体組織との間に分子相同性を有する構造が作り出され、自己免疫疾患が惹起されることを、Campylobacter jejuni腸炎後ギラン・バレー症候群(GBS)を例にして証明することが目的である。 昨年度までに、GM1様LOSとGD1a様LOSの両者を発現するC.jejuni株が原因となったGBS患者血中には、IgG抗GM1b抗体とIgG抗GM1/GD1a複合体抗体が高頻度に検出されることを明らかにした。検出された血中IgG抗GM1b抗体力価・抗GM1/GD1a複合体抗体力価は、GM1・GD1a様LOSで吸収処理を行うことで有意に低下した。吸収体として用いるGM1・GD1a様LOSを、Arthrobacter ureafaciens由来ノイラミニダーゼを界面活性剤存在下で反応させ、GD1a様構造は全てGM1様LOSへ変換させることで、抗GM1/GD1a複合体抗体は吸収されなくなることが確認された。 以上の一連の結果は、少なくとも一部のC.jejuni菌株では、GM1様LOSとGD1a様LOSの両方を有し、両者が菌体上で複合体を形成することでGM1b様の構造が新たに作りだされ、その結果、抗GM1bが患者血中に産生され、これが末梢神経上に発現するGM1bと結合することでGBSを発症していることが示唆する。つまり、「ひとつのオリゴ糖では相同性を示さず、複数のオリゴ糖がクラスターを形成することで新しい構造を作り出され、分子相同性を示しうる」ことの傍証を得ることができた。
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Research Products
(16 results)