2010 Fiscal Year Annual Research Report
クオラムセンシング機構を利用した多剤耐性病原菌の制御剤の開発と解析
Project/Area Number |
20590447
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
間世田 英明 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (10372343)
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Keywords | クオラムセンシング機構 / 毒素 / 緑膿菌 / 阻害剤 |
Research Abstract |
抗生物質の発見以来、人類は感染症の脅威から解放されてきた。しかしながら、その使用とともに抗生物質の効かない多剤耐性菌が出現し、院内感染等の問題を引き起こし、新たな感染症の対応策の開発が望まれている。我々は、抗生物質も効かない多剤耐性菌を含めた感染症原因菌の制御を目指し、抗生物質と異なる手法により多剤耐性菌の制御を目指している。すなわち、感染菌の一般的な毒素誘導機構であるQuorum-sensingシステムを薬剤により阻害することで、菌を殺さず毒素のみを抑制することを試みている。本方法は、多剤耐性株の出現リスクを極力抑えることができるばかりか、高度に多剤耐性化して菌体に対しても有効である。我々は昨年度、一昨年度合成したQS阻害候補剤25種の化合物について、感染症の原因菌である緑膿菌の高毒素発現株を用いて毒素発現阻害活性を測定し.いくつかの化合物については毒素発現の阻害を確認し、いくつかの薬剤で、Las系.Rhl系ともに阻害していることを同定した。特に、NO6の薬剤は、Rhl系係のみをかなり強く阻害剤であることが確認した。そこで本年度ば、緑膿菌に加え、Serratia marcescenceの多剤耐性変異株についても薬剤が有効であるか検討した。しかし、論文での報告とは異なり、本研究室所有のセラチアは、QSによる毒素発現が行われていなかった。そこで、現実の利用を鑑みて、天然物からのQS阻害剤のスクリーニングも行った。その結果、オリーブ中に著量含まれる物質にQS阻害能があることが確認された。この物質にQS阻害能が存在するという報告はなく、食品由来であることから、現実に利用可能であると考えられた。
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