2008 Fiscal Year Annual Research Report
結核菌感染におけるサイトカイン・ネットワークの構築およびその感染防御機構の解明
Project/Area Number |
20590449
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
梅村 正幸 University of the Ryukyus, 分子生命科学研究センター, 助教 (90359985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 吾朗 琉球大学, 分子生命科学研究センター, 教授 (30229455)
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Keywords | 感染免疫 / サイトカイン / 細胞内寄生性細菌 / 結核菌 / インターロイキン-17 / 自然免疫 / 獲得免疫 / 肉芽腫形成 |
Research Abstract |
炎症誘導性サイトカインであるIL-17による免疫応答誘導制御メカニズムは未だ不明であり、IL-17の感染症に対する生体防御の意義も不明瞭な点が多い。本研究では「IL-17を共通な要素とするサイトカインネットワークによる免疫制御および感染防御機構の解明」を目的にし、以下の結果を得た。 1.マイコバクテリア感染IL-17A遺伝子欠損マウスの肉芽腫形成異常の動態 肉芽腫形成はマイコバクテリア感染において最も特徴的な病変のひとつである。マイコバクテリア感染肺でのIL-17依存性肉芽腫形成時期を明確にするため、正常およびIL-17A遺伝子欠損(KO)マウスにM.bovis BCGを経気道感染させ、肉芽腫形成異常時期を調べた。IL-17AKOマウスの感染肺での肉芽腫形成は、感染早期では正常マウスとの問に顕著な差が認められず、感染後期で有意な差が認められた。このことから、感染早期から認められる肉芽腫の形成段階にはIL-17A以外の因子が関与し、その後IL-17A依存性の肉芽腫形成に発展していく可能性が示唆された。 2.肉芽腫形成におけるIL-17A産生γδ^+T細胞の局在 我々は既にM.bovis BCGを感染させた肺においてIL-17Aが感染早期から発現し、その産生細胞が主に特定のγδ^+T細胞であることを明らかにしている。肉芽腫内のIL-17A産生γδ^+T細胞の局在を確認した。正常マウスではマクロファージを中心とした肉芽腫内にγδ^+.T細胞が多数存在したが、IL-17AKOマウスではγδ^+T細胞が散々した状態であり、肉芽腫の形成も不完全であった。また、肉芽腫内あるいは周囲のγδ^+T細胞の多くはIL-17A産生細胞であった。これらの結果は、IL-17Aを生産するγδ^+T細胞がM.bovis BCG感染肺の肉芽腫形成に深く関与しているという我々の仮説を支持するものとなった。
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