2010 Fiscal Year Annual Research Report
赤痢菌が分泌する感染細胞の形態維持に関わる作用因子の機能解析
Project/Area Number |
20590462
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
寺嶋 淳 国立感染症研究所, 細菌第一部, 室長 (70202190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 真 国立感染症研究所, 細菌第一部, 部長 (10233214)
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Keywords | 細菌 / 感染症 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究課題では、赤痢菌感染細胞の形態維持に関わる作用因子の機能解析として、赤痢菌のエフェクターOspE2を中心にその分子機構の解析を行っている。既に、OspE2-HA融合タンパク質が、感染細胞の細胞接着斑に局在していることを明らかにしている。また、OspE2の宿主細胞内での標的タンパクを探索するために、ツーハイブリッド法を使った相互作用因子同定実験をおこなった結果から、OspE2タンパクは、ダイニン軽鎖と結合しうることが示唆された。H22年度においては、感染細胞内におけるOspE2の機能をより詳細に解析するために、OspE2の機能ドメインの同定を行った。種々の(欠失・点)変異型OspE2をOspE2欠損株にプラスミドで導入し、それぞれの発現量、分泌量、感染細胞内への局在量をモニターすると共に、感染細胞の形態変化及びダイニン軽鎖との結合量を指標としてOspE2蛋白質(88アミノ酸)のどの部位が感染細胞の形態維持に関与しているかを調べた。OspE2_<1-44>,OspE2_<1-55>,OspE2_<1-66>,OspE2_<1-77>の各種トランケートOspE2-HA融合タンパク質を作成し、上記指標について調べた結果、OspE2_<1-44>では、感染細胞の形態回復能、細胞接着班への局在及びダイニン軽鎖結合能を喪失するものの、OspE2_<1-55>及びOspE2_<1-66>では、細胞接着班への局在のみが失われた。さらに、65番目のグルタミン酸をリシンに置換したOspE2 E65Kでは、細胞接着班への局在は見られなくなったが感染細胞の形態回復能とダイニン軽鎖との結合能は保持された。以上から、感染細胞における形態維持を行うOspE2の活性には、ダイニン軽鎖との相互作用が必須であり、細胞接着班への局在は必須ではない可能性が示唆された。
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