2008 Fiscal Year Annual Research Report
EBウイルス蛋白質EBNA3CによるINK4a/ARF発現抑制機構
Project/Area Number |
20590464
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
丸尾 聖爾 Hokkaido University, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (70292018)
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Keywords | EBウイルス / 形質転換 / 癌抑制遺伝子 / INK4a / ARF / エピジェネティクス |
Research Abstract |
EBウイルスはヒト正常Bリンパ球を形質転換して無制限に増殖可能なリンパ芽球様細胞(LCL)に変換する活性をもち、移植後リンパ増殖症の原因となる。我々はこれまで、コンディショナルにEBNA3Cの機能を制御可能なLCLを樹立し、形質転換に必須のウイルス蛋白質EBNA3Cが腫瘍抑制遺伝子INK4a/ARFの発現を抑制することを明らかにしてきた。本年度は、EBNA3CがINK4a/ARF発現を抑制するメカニズムを明らかにするために、INK4a/ARFのプロモーター領域のDNAメチル化の状態について解析をおこなった。EBNA3CオンあるいはEBNA3Cオフの状態で培養したLCLからそれぞれゲノムDNAを抽出し、メチル化特異的PCR法(MSP法)、バイサルファイトシークエンシング法を用いてp16(INK4a)のプロモーター領域のDNAメチル化を解析した。MSP法を用いた解析では、LCLのp16(INK4a)プロモーター領域はEBNA3Cオン、オフいずれにおいても低メチル化の状態であった。さらに、バイサルファイトシークエンシング法による解析を行った結果、LCLにおけるp16(INKa)プロモーターのCpG部位のメチル化の程度はEBNA3Cオン、オフいずれにおいても約10%であり、メチル化のパターンにも明らかな違いは認められなかった。以上の結果から、EBNA3CによるINK4a/ARF発現抑制にDNAメチル化は主要な役割を演じていないものと考えられた。 また、一連のEBNA3C欠失変異体、点変異体を作成してそれらの機能を解析することにより、LCL増殖維持に必須のEBNA3Cのアミノ酸領域の詳細なマッピングを行った。今回のEBNA3C必須領域の同定は、EBNA3Cの作用メカニズムを明らかにしていく上で重要な情報となる。
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Research Products
(3 results)