2009 Fiscal Year Annual Research Report
EBウイルス蛋白質EBNA3CによるINK4a/ARF発現抑制機構
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20590464
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
丸尾 聖爾 Hokkaido University, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (70292018)
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Keywords | EBウイルス / 形質転換 / 癌抑制遺伝子 / INK4a / ARF / エピジェネティクス / ヒストン修飾 / EBNA3C |
Research Abstract |
EBウイルスはヒト正常Bリンパ球を形質転換して無制限に増殖可能なリンパ芽球様細胞(LCL)に変換する活性をもち、移植後リンパ増殖症の原因となる。我々はこれまで、形質転換に必須のウイルス蛋白質EBNA3Cの機能をコンディショナルに制御できるLCLを樹立し、EBNA3Cが腫瘍抑制遺伝子INK4a/ARFの発現を抑制することによってLCLの増殖維持に寄与していることを明らかにしてきた。本年度は、EBNA3CがINK4a/ARF発現を抑制するメカニズムを明らかにするために、p16(INK4a)のプロモーター領域のヒストン修飾について解析をおこなった。EBNA3CオンあるいはEBNA3Cオフの状態で培養したLCLからそれぞれクロマチンを調整し、クロマチンIP法を用いてp16(INK4a)のプロモーター領域のヒストンH3のアセチル化およびメチル化を解析した。その結果、EBNA3Cをオフにすると、activeクロマチンのマークであるヒストンH3のアセチル化およびH3K4のメチル化が増加した。一方、silentクロマチンのマークであるH3K27のメチル化は減少した。すなわち、EBNA3Cオフによりp16(INK4a)のプロモーター領域のクロマチンがactiveな状態に変化することが明らかになった。したがって、EBNA3Cは何らかの方法でp16(INK4a)のプロモーター領域のクロマチンをsilentな状態に保っているものと考えられる。ウイルス蛋白質によるヒストン修飾の制御についてはこれまであまり報告がなく、ウイルスによる宿主細胞の遺伝子発現のコントロールを考える上で重要な意義をもつと考えられる。
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