2010 Fiscal Year Annual Research Report
EBウイルス蛋白質EBNA3CによるINK4a/ARF発現抑制機構
Project/Area Number |
20590464
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
丸尾 聖爾 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (70292018)
|
Keywords | EBウイルス / 形質転換 / がん抑制遺伝子 / INK4a/ARF / EBNA3C / EBNA3A / 不死化 / RBP-Jκ |
Research Abstract |
EBウイルスはヒト正常Bリンパ球を不死化して無制限に増殖可能なリンパ芽球様細胞(LCL)に変換する活性をもつ。不死化Bリンパ球は免疫機能が低下した宿主内で増殖して移植後リンパ増殖症の原因となる。我々はこれまで、ウイルスの不死化タンパク質EBNA3Cはがん抑制遺伝子INK4a/ARFの発現を抑制することによってLCLの増殖維持に寄与していることを明らかにしてきた。また、EBNA3Cは宿主細胞のDNA結合タンパク質BP-Jκと結合すること、さらに、IBP-Jκとの結合がEBNA3Cの機能発現に必須であることを明らかにしてきた。これらのことから、EBNA3Cは転写制御因子として機能しているものと考えられている。そこで本年度は、EBNA3Cにより発現誘導される宿主遺伝子、発現抑制される宿主遺伝子を同定した。さらに本年度は、EBNA3Cの兄弟タンパク質であるEBNA3Aの機能についても検討を行った。EBNA3A遺伝子とEBNA3C遺伝子は同じ祖先遺伝子から遺伝子重複により生じたと考えられており、EBNA3Cと同様にBNA3Aも不死化に必須のウイルスタンパク質である。EBNA3Aの機能をコンディショナルに制御できるLCLを用いてEBNA3A機能を解析した。その結果、EBNA3AもEBNA3Cと同様に、がん抑制遺伝子INK4a/ARFの発現を抑制することによってLCLの増殖維持に寄与していることが明らかとなった。EBNA3AとEBNA3Cはお互いの機能を代替できないこともすでに報告しており、EBNA3AとEBNA3Cは協同で働くことによりp16(INK4a)-pRbがん抑制経路およびp14(ARF)-p53がん抑制経路を抑制していることが示唆された。本研究により、これまで不明であったEBウイルスEBNA3タンパク質群のBリンパ球不死化における働きが明らかになった。
|
Research Products
(4 results)