2010 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス学的シナプスを介したHTLVー1感染機構の解明
Project/Area Number |
20590468
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
樋口 雅也 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50334678)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)は細胞間接触を介して感染・伝播する。本研究ではHTLV-1の細胞間感染伝播のメカニズムを、宿主細胞のシナプス形成装置を利用した細胞内侵入(ウイルス学的シナプス)という観点から明らかにすることを目的とした。我々は細胞間シナプス形成に重要である細胞極性因子Dlg1が、HTLV-1の細胞間感染に重要であることを明らかにしていたが、このDlg1に強く結合している蛋白としてMPP7を新規に同定した。MPP7ノックダウン細胞では、HTLV-1感染細胞との共培養による合胞体形成能が顕著に低下することから、MPP7はDlg1同様、HTLV-1の細胞間感染に重要な分子であることがわかった。HTLV-1はウイルス学的シナプスに局在するGLUT-1を受容体として細胞間感染する。GLUT-1はPDZドメイン結合配列をもち、Dlg1やMPP7との相互作用が示唆されていた。そこでMPP7ノックダウン細胞におけるGLUT-1の局在を免疫蛍光染色で検討したところ,コントロール細胞との違いは認められなかった。さらに細胞表面におけるGLUT-1の発現を、GLUT-1に結合するHTLV-2 Env-GFP融合蛋白を用いてFACSにより検討したが、両者に発現量の違いは認められなかった。このことから、Dlg1-MPP7複合体がGLUT-1の局在を制御し、HTLV-1の細胞間感染を促進している可能性は低いことが示唆された。 ウイルス学的シナプスにはインテグリン分子などを介した、細胞間接着も重要な役割を果たすと考えられており、Dlg1-MPP7複合体はこれらの接着分子の機能制御に関わっていろ可能性も考えられる。
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