2009 Fiscal Year Annual Research Report
パラミクソウイルスの膜融合における受容体結合蛋白と膜融合蛋白の相互作用の分子機構
Project/Area Number |
20590470
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
鶴留 雅人 Mie University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (50159042)
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Keywords | パラミクソウイルス / PIV5 / 細胞融合 / HN蛋白 / F蛋白 / 多核巨細胞 / 受容体 / 蛋白間相互作用 |
Research Abstract |
平成20年度の結果から、パラインフルエンザ5型ウイルス(PIV5)のF蛋白(PIV5-F)のM1ドメインとM2ドメインをシミアンウイルス41(SV41)の相同ドメインで置換したキメラF蛋白、M(1+2)、はSV41のHN(41-HN)との共発現により、HeLa細胞に細胞融合を誘導できることが判明している。 1.トリプシン解裂型のM(1+2)を作製して41-HNと共にHeLa細胞に発現させ、免疫共沈法により41-HNとの結合を調べたところ、解裂前のM(1+2)と41-HNとの結合性は、解裂前のPIV5-Fと41-HNとの結合性と同程度であった。 2.M(1+2)のF蛋白をトリプシン処理により解裂させて細胞融合をさせ、41-HNとの結合能を調べたところ、解裂後のM(1+2)と41-HNとの結合性は解裂後のPIV5-F結合性と同程度であった。さらに、発現させたM(1+2)のほとんどが細胞融合に与るように発現細胞にモルモット赤血球を重層した場合でも、これらのF蛋白の41-HNとの結合性に変化は認められなかった。 3.上記の実験系では、界面活性剤(ラウリルマルトシド)を用いて発現細胞を可溶化し,41-HNに対する抗体を用いた免疫共沈法を行なっている。この沈降物をドデシル硫酸ナトリウムで処理してF蛋白と41-HNの結合の強さを調べたところ、解裂後のF蛋白は解裂前のF蛋白に比べて明らかに弱い結合力を示したが、M(1+2)とPIV5-Fの間での相違は認められなかった。 以上の結果から、F蛋白はHN蛋白と結合するだけでは細胞融合を誘導することはできないことが明らかになった。従って、細胞融合誘導に関わるF蛋白の構造変化はHN蛋白から離脱する際に(HN蛋白によって)ひき起されること、またそのために、F蛋白ドメイン(M1とM2)が重要な役割を果たすことが示唆された。
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