2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト免疫不全ウイルス1型感染初期過程に関わる宿主因子の探索
Project/Area Number |
20590472
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中山 英美 Osaka University, 微生物病研究所, 助教 (70324845)
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Keywords | HIV-1 / TRIM5α / CypA |
Research Abstract |
ヒト免疫不全ウイルスI型(HIV-1)は、宿主域が狭く、アカゲザルやアフリカミドリザルの細胞には侵入するが逆転写が進行しない。旧世界サル細胞中のレトロウイルス抑制因子TRIM5αがHIV-1のカプシドに結合してこの増殖抑制機能を担う。一方、HIV-1のカプシドにはサイクロフィリンAも結合する。旧世界サル細胞中におけるサイクロフィリンAのHIV-1増殖抑制に果たす役割を検討するために、まず、旧世界サルの細胞にSPRYドメインを欠損したTRIM5を発現させTRIM5αの機能を抑制した。その上でサイクロフィリンAを発現させるとHIV-1感染感受性が低下した。一方ヒト細胞で同様の実験を行っても、感染感受性は全く変化せず、サイクロフィリンAによるHIV-1感染阻害効果は旧世界サル細胞特異的であることが明らかになった。サイクロフィリンAとの結合能を失う変異をカプシド遺伝子に導入したHIV-1の感受性はサイクロフィリンAの発現により影響されず、また、HIV-1カプシドとの結合能を失う変異を導入したサイクロフィリンAの発現では、HIV-1感染阻害効果は認められなかった。本研究により、旧世界サル細胞における抗HIV-1作用は、TRIM5αとサイクロフィリンAの二つの因子によって担われていることがはっきりした。また、旧世界サルにおけるサイクロフィリンAの感染抑制効果はTRIM5αに依存しない作用であることも明らかになった。サイクロフィリンAのアミノ酸配列はヒトと旧世界サルの問で違いがないため、サイクロフィリンAと相互作用する旧世界サル細胞中の何らかの因子が、HIV-1感染阻害を決定しているものと考えられた。
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Research Products
(9 results)