2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト免疫不全ウイルス1型感染初期過程に関わる宿主因子の探索
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20590472
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中山 英美 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (70324845)
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Keywords | TRIM5α / monkey / HIV-1 / SIV |
Research Abstract |
ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)は宿主域が極めて狭く人以外に感染する動物はチンパンジーのみで、アカゲザル、カニクイザルなどの旧世界ザルには感染しない。一方、HIV-2は、HIV-1と異なり旧世界ザルに感染できる株も存在する。TRIM5αはサル細胞に存在する、ウイルス感染初期過程に働く感染抑制因子の一つである。我々はこれまでにカニクイザルTRIM5αはウイルスのコアを形成するキャプシドタンパク質(CA)120番目のアミノ酸がプロリンであるHIV-2株の感染を阻害する事ができるが、グルタミン又はアラニンであるHIV-2株の感染を阻害できない事、またHIV-1のvifに加えてカプシドの120番目のアミノ酸を含む4アミノ酸をサル免疫不全ウイルス(SIV mac239)由来の配列に置換することにより、カニクイザルTRIM5αから逃避したHIV-1がカニクイザルの末梢血CD4細胞で増殖可能になることを明らかにした。しかし、このウイルスはアカゲザル細胞では未だ増殖不能であり、アカゲザルTRIM5αはカニクイザルTRIM5αより広い領域を認識する可能性が示唆された。そこで本研究では、アカゲザルTRIM5αによる感染抑制を受けるHIV-2と受けないSIV mac239のカプシドキメラウイルスを作成し、アカゲザルTRIM5αが認識する領域を決定したところ、120番目のアミノ酸に加えて、CAのアミノ末端領域、4番目と5番目のα-ヘリックス間のループ、6番目のα-ヘリックスが重要であること、これらの領域はCAの多量体であるコア構造を取った場合に、外側に位置することが判明した。HIV-1のワクチンの効果判定にはHIV-1の感染サルモデルが必要である。アカゲザルに感染可能なHIV-1の作成に、この知見は役立つものと考えられた。
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Research Products
(10 results)