2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590474
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
池田 正徳 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (30315767)
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Keywords | 骨訴訟症 / 脂質代謝 / スタチン剤 / ラロキシフェン / ゲラニルゲラニル化 |
Research Abstract |
(1) 骨粗霧症治療剤の抗HCV活性 昨年度は更年期以降の女性で発症率の高い骨粗鬆症の治療剤であるビスフォスフォネート剤のアレンドロネートが抗HCV活性を有することを報告した。メバロン酸経路における代謝産物のゲラニルゲラニルピロリン酸は宿主因子のゲラニルゲラニル化の基質となるが、HCVの複製にはゲラニルゲラニル化の修飾を受ける宿主因子(FBL2など)が必要なことが知られている。今年度は、閉経後骨粗鬆症の治療に用いられる選択的エストロゲン受容体調整剤の抗HCV活性について検討した。全長HCV RNA複製レポーターアッセイ系を用いてラロキシフェンのHCV RNA複製に及ぼす効果を検討した。ラロキシフェンは濃度依存的にHCV RNA複製を抑制した(EC_<50>:1μM)。また、ラロキシフェンはC型慢性肝炎の標準的治療剤であるインターフェロンの抗HCV活性を増強した。ラロキシフェンは現在、臨床の場で使用されている安全性の高い薬剤であるため、インターフェロン治療抵抗性の高齢女性に対する治療成績改善が期待される。 (2) 異なるHCV株でのスタチン剤の感受性 昨年度は1b型HCV株(HCV-0)に比べて2a型HCV株(JFH1)ではスタチン剤が抵抗性を示すことを報告した。本年度は、3つの1b型HCV陽性患者血清(1B-4, 1B-5, KAH5)よりサブゲノムレプリコン複製細胞を作成し、スタチン剤に対する感受性を検討した。ピタバスタチンに対する1B-4, 1B-5, KAH5, 0由来のレプリコンのEC_<50>はそれぞれ0.40,0.51,0.64,1.00μMでありHCV株により感受性が異なることがわかった。他のスタチン剤(フルバスタチン、ロスバスタチン)でもKAH5由来のレプリコンは最も低い感受性を示した。このことは、C型慢性肝炎患者においてもスタチン剤の感受性に違いがある可能性を示唆している。
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