2010 Fiscal Year Annual Research Report
コアヒストンを介する抗ウイルス自然免疫応答機構の解明と応用
Project/Area Number |
20590477
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
武下 文彦 横浜市立大学, 医学研究科, 客員教授 (60333572)
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Keywords | 感染防御 / ウイルス学 / 基礎医学 |
Research Abstract |
ウイルス感染後、宿主細胞内に存在するウイルス由来DNAはコアヒストンH2Bにより認識され、I型インターフェロン(type I IFNs)を主体とした抗ウイルス自然免疫を誘導することをあきらかとしてきた。本研究では、H2Bを介したnaked DNA(ヌクレオソームに取り込まれていないフリーなDNA)認識機序について分子生物学・生化学的に解析し、このシグナル活性化経路を調節する分子を応用した新規免疫調節薬開発の基盤的研究を行うことを目的とした。本研究により、H2BはIPS-1と複合体を形成しtype I IFNs産生シグナルを活性化する事をあきらかとした。また、共焦点顕微鏡を用いた解析より、H2Bは核内外に局在し核外H2Bが細胞質naked DNAを認識することをあきらかとした。更に、H2Bを介したシグナル伝達を担う新規分子探索を行った結果、H2Bを介したウイルス感染防御応答を担う新規アダプター分子CIAOが同定され、H2B-CIAO-IPS-1複合体がtype I IFNs産生調節機構に関与していることをあきらかとした。この複合体はヒトの細胞で認められるがマウスの細胞で認められないことから、naked DNA認識機構はヒトとマウスで異なることが示唆された。 H2Bを介したシグナル伝達を免疫調節薬開発へ応用可能か検討するため、H2B-CIAO-IPS-1シグナルを活性化するキメラタンパク質N'-CARDを作製した。N'-CARDは強力にtype I IFNs産生を誘導することから、N'-CARDの新規アジュバント応用への可能性が示唆された。 以上より、H2Bを介したnaked DNA認識機構の解析より創出された本研究オリジナルのN'-CARD新規アジュバント候補タンパク質による新規免疫調節薬開発研究の発展が期待される。
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