2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590482
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
小池 智 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (30195630)
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Keywords | エンテロウイルス71 / ウイルス受容体 / 種特異性 / 発現クローニング / ウイルス結合部位 / 糖鎖付加 |
Research Abstract |
エンテロウイルス71(EV71)はピコルナウイルス科エンテロウイルス属に属するウイルスで、コクサッキーウイルスA16などと共に乳幼児に手足口病を引き起こすことが知られている。このウイルスはヒト由来の培養細胞RD細胞には感染するが、マウス由来のL929などにはほとんど感染が成立しない。ところがL929細胞にウイルスRNAをトランスフェクションすれば子孫のウイルス粒子が産生されることから、L929細胞への感染不成立はウイルスの感染初期段階(細胞への吸着,侵入、脱殻など)がうまくいかないためであると考えられた。EV71のこのような種特異性を利用して、昨年度までに我々はヒトScavenger receptor B2(SCARB2)がEV71受容体であることと同定した。EV71はSCARB2と直接結合することをpull down assayなどにより確認した。マウスにはヒトのこの遺伝子と相同なマウスScarb2が存在する。この遺伝子を過剰発現するとウイルス受容体としての活性を示すが、ヒトSCARB2と比較するとその活性は著しく低い。両者の遺伝子は12個のエクソンによってコードされているが、いくつかのエクソンをヒトとマウスで入れ替えたキメラを作製することにより、ヒトSCARB2のエクソン4によってコードされる64アミノ酸の部分がウイルス感染成立に必須であることを同定した。また、ヒトSCARB2には10箇所のN型糖鎖付加可能な部位が存在し、実際にその分子量から推定していくつかの糖鎖が付加されていると考えられた。糖鎖をPNGase Fにより除去した可溶性SCARB2を用いたpull down assayにより糖鎖の付加はウイルスとSCARB2の相互作用に必須ではないことを明らかにした。
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Research Products
(8 results)