2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590488
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
緒方 正人 Mie University, 大学院・医学系研究科, 教授 (60224094)
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Keywords | リンパ球 / MAPキナーゼ / ERK / p38 / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
ERKやp38、JNKなどからなるMAPキナーゼ(MAPK)は、シグナル伝達分子として転写因子や他のキナーゼなどをリン酸化し制御する。MAPKは、いわゆる免疫細胞にとどまらず多様な細胞で働き、生体制御のネットワークを構成すると考えられる。本研究は、多様な細胞の相互作用におけMAPK系の生理機能を遺伝子改変マウスを用いて解析することを目的とする。 ERKには、相同性の高いERK1とERK2のふたつの遺伝子が存在する。今回、ERK1、ERK2二重欠損マウスの作成・解析を行った。ERK1、ERK2単独のノックアウトマウスでは、Bリンパ球分化に明らかな異常は認めなかった。しかし、ERK1とERK2の二重欠損マウスでは、Bリンパ球の分化がpre-BI細胞の段階でストップすることを見出した。pre-BCR依存的かつERK依存的に発現が変化する遺伝子を網羅的に検索し、16の転写因子遺伝子を見出した。これらの遺伝子をERKを欠いたpro-B細胞にレトロウイルスベクターを用いて遺伝子導入したところ、Myc、ilf2、Mef2c、Mef2dの4遺伝子で細胞増殖が回復した。従ってERKは、この4遺伝子の発現誘導を介してpro-B細胞の増殖、あるいは分化を制御すると考えられた。 p38αに関しては、ホモの遺伝子欠損マウスは胎生致死となるため、ヘテロノックアウトマウスによる解析を行った。このマウスでは、高カロリー食投与後の体重増加の抑制や、血糖値上昇の抑制を認めた。この現象に血球細胞が関与するか否か検討するため、血液細胞、血管内皮特異的なコンディショナルノックアウトマウスを作成したところ、生存可能であり、今後解析に用いる予定である。
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