2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590488
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
緒方 正人 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60224094)
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Keywords | リンパ球 / MAPキナーゼ / ERK / p38 / 遺伝子改変マウス / 慢性炎症 |
Research Abstract |
シグナル伝達分子であるMAPキナーゼ(MAPK)は、細胞の増殖や生死、分化等の制御を介してさまざまな生命現象にかかわるが、炎症シグナル伝達においても重要と考えられている。慢性炎症は、近年、いわゆる感染症だけでなく、がんや代謝症候群など、多様な病態に関わると報告されている。本研究では、MAPKのERKとp38αに焦点を絞り、その機能を、遺伝子改変マウスを用いて生体レベルで解析する。 p38αの代謝症候群への関与を、血液細胞、血管内皮特異的なp38αコンディショナルノックアウトマウスを用いて解析した。このマウスは、通常食では野生型マウスと明らかな差を認めなかったが、高脂肪食を与えた場合は、野生型マウスと比較して体重増加と血糖値上昇が抑制された。また、抹消血球の炎症性サイトカイン遺伝子発現も低下しており、肥満で生じる慢性炎症が抑制されていると考えられた。以上から、血球においてp38αを介するシグナルが、代謝症候群の制御にかかわることが明らかになった。 一方、ERK2については、下記の検討を行った。ERK2ノックアウトマウス、血球細胞や血管内皮特異的なERK2コンディショナルノックアウトマウスは、生存仔が殆ど得られず、共に解析は困難であった。そこで、ERK2のヘテロノックアウトマウスに高脂肪食を投与したが、上記のp38aコンディショナルノックアウトマウスと異なり、体重増加、血糖値変動ともに野生型マウスと比べ明らかな差を認めなかった。
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