2009 Fiscal Year Annual Research Report
B細胞における細胞内シグナル制御因子の生理的機能の解明
Project/Area Number |
20590492
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小林 隆志 Keio University, 医学部, 准教授 (30380520)
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Keywords | B細胞 / シグナル伝達 / 抗体産生 / 細胞分化 / アレルギー / サイトカイン / SOCS |
Research Abstract |
前年度に引き続き、B細胞特異的SOCS1欠損マウスの表現型をin vivo及びin vitro系で評価し機能解析を行った。これまでの解析から、B細胞特異的SOCS1欠損マウスは、正常血清中のIgG1及びIgEが有意に上昇すること、および抗CD40抗体+IL-4共刺激による培養B細胞のIgE産生が亢進すること、またこれらの表現型はSTAT6欠損マウスとのかけ合わせによって正常化することを見いだした。また、B細胞特異的SOCS1欠損マウスの脾臓では胚中心の形成が亢進していた。一方、骨髄、脾臓およびリンパ節でのB細胞の成熟分化には大きな影響がなく、メモリーB細胞の形成も正常であった。B細胞特異的SOCS1欠損マウスを各種抗原で免疫し、抗原特異的抗体産生を調べたところ、Th1応答を優位に惹起するCFAをアジュバントとした場合、B細胞特異的SOCS1欠損マウスの各アイソタイプ抗体産生量は、野生型マウスと同程度であった。しかし、Th2応答を優位に惹起するAlumをアジュバントとした場合、抗原特異的IgEの産生がB細胞特異的SOCS1欠損マウスで有意に上昇していた。さらに、Active Cutaneous anaphylaxis(ACA)モデル実験や気道炎症モデル(喘息モデル)実験を試みたところ、B細胞特異的SOCS1欠損マウスはアレルギー高感受性であることが明らかになった。以上の結果から、B細胞においてSOCS1は、IL-4/STAT6シグナルを抑制し過剰なIgE産生を抑えることでアレルギー感受性を制御していることが明らかとなった。
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