2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590494
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
竹田 和由 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80272821)
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Keywords | 細胞死 / 免疫活性化 / 癌治療 / 免疫抑制 / regulatory T細胞 / 所属リンパ節 / CTL / CTLA-4 |
Research Abstract |
研究代表者は、癌細胞に発現するTRAIL(TNF関連アポトーシス誘導リガンド)の受容体(DR5)に結合し細胞死を誘導する抗体と、免疫細胞上の補助刺激受容体を標的とし免疫反応を活性化する抗体(抗原提示細胞上のCD40に対する抗体と細胞傷害性T細胞上のCD137に対する抗体)のカクテル療法(trimAb)により、細胞死耐性変異癌を90%含む癌塊や化学発癌で誘導された癌さえも完全に拒絶できることを報告し、細胞死誘導と免疫活性化の併用で免疫系全体をシステムとして活性化させる治療の有効性を示した。本年度は、このtrimAb治療をエスケープし増殖する癌塊内での免疫反応を解析し、治療効率を増強させる手法を探索した。trimAbをエスケープする癌の中には免疫を抑制するregulatory T細胞がCTLと共に多数浸潤していた。そこで免疫抑制に関与する分子を標的とする抗体、および他の免疫活性化を誘導する抗体を追加投与したところ、抗CTLA-4抗体のみがtrimAbの治療効果を増強したが、興味深いことに所属リンパ節での腫瘍特異的免疫反応はtrimAb治療単独と同程度であった。一方、他の抗体の追加投与では所属リンパ節での腫瘍特異的免疫反応は増強されていたが、治療効果は増強されず、癌塊内へのregulatory T細胞の浸潤が増強されていた。従って、過剰な免疫反応の増強は、regulatory T細胞の癌塊への浸潤を促進し逆に腫瘍拒絶の効率を低減する可能性があり、癌塊内部での免疫環境の改善による癌特異的免疫反応の増強が癌拒絶にはより重要であることが強く示唆された。また、癌の存在する臓器により拒絶に関わる免疫エフェクター機構が異なることも報告した。
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Research Products
(6 results)