2010 Fiscal Year Annual Research Report
免疫記憶の形成と維持においてPLCγ2が果たす役割の解析
Project/Area Number |
20590497
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
疋田 正喜 京都大学, 医学研究科, 教授 (60228715)
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Keywords | 免疫学 / 遺伝子 / 動物 / 病理学 / ゲノム |
Research Abstract |
IgG1遺伝子座3'端にIRES-Creをノックインしてあるマウスと申請者らのグループによりすでに作製・解析が進んでいるLoxP-PLC-γ2マウスを交配し、IgG1-Cre/PLC-γ2floxマウス(PLC G1 KO)を作製した。当該マウスにおいて、予想通りIgG1陽性細胞においてのみPLC-γ2遺伝子座が欠失しているかどうか、また、PLC-γ2タンパクの発現もなくなっているかどうかを、PCR法およびFACS解析により確認し実験に使用した。 PLC-γ2欠損マウスにおいては、未熟B細胞から成熟B細胞のturnover rateが上昇していることを示している。そこで、本研究においては、PLC-γ2の欠失によりBCRシグナルが伝わらない状態で、IgG1にクラススイッチした細胞の寿命が変化するのか否かをBrdUのin vivoでのpulse-chase実験により解析した。その結果、記憶細胞の維持にPLC-γ2を介するBCRシグナルが必須の役割を果たしていることが明らかとなった。 現在までの、予備検討の結果、当該マウスにおける抗原特異的IgG1記憶応答の著しい低下が認められていることから、さらにこの点に関して、他のクラスの抗体産生量を含めて詳細な検討を行った。その結果、一次応答、記憶応答の両者において、抗原に対する親和性成熟に障害を受けていることが明らかとなった。また、このときPLC G1KOマウスにおいて、免疫記憶の形成が正常に行われているか否かを解析したところ、免疫記憶の形成に強い障害を受けていることも明らかとなった。 これらの結果より、PLC-γ2は記憶細胞の維持およびそれらの細胞による免疫記憶の形成に必須の役割を果たしていることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)