2008 Fiscal Year Annual Research Report
マスト細胞活性化における亜鉛トランスポーターの役割解明
Project/Area Number |
20590498
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西田 圭吾 The Institute of Physical and Chemical Research, サイトカイン制御研究グループ, 上級研究員 (80360618)
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Keywords | アレルギー / マスト細胞 / 亜鉛トランスポーター / サイトカイン / 亜鉛 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本年度は亜鉛トランスポーターのマスト細胞依存的なアレルギー反応における役割を調べるために、Znt5/Slc30a5KOマウスを用いて、IV型アレルギーモデル、接触過敏反応(CHS)を施行した。その結果、KOマウスでアレルギー反応が抑制されるというデータが得られた。このモデルはマスト細胞由来TNFαが好中球を炎症局所に引き寄せることにより局所における炎症が起こることが知られている。そこで骨髄由来マスト細胞(BMMC)を用いてin vitroにおけるZnT5欠損マスト細胞の解析を行ったところ、ZnT5欠損BMMCsは野生型と比較すると脱顆粒反応は正常であったが、IL-6、TNFαなどの炎症性サイトカインの分泌・転写レベルが減少しているということが判明した。このことは、マスト細胞においてZnT5が炎症性サイトカインの転写にいたる分子を媒介することによって、アレルギー応答に関与しているということを示している。一般的に、マスト細胞は抗原刺激でFcεRIが架橋されることによりSyk/LAT/PLCgが活性化されPIP_2からIP_3とDAG(ジアシルグリセロール)が合成される。次に脂質成分であるDAGは、細胞膜へ移行したPKCのzinc finger domainと結合することによりPKCを活性化する。さらにIKK/IκB/NF-κBが活性化され、IL-6、TNFαなどの炎症性サイトカインが産生される。そこでZnT5欠損BMMCsを用いてPKCの活性化、NF-κBシグナル伝達を調べたところ、Znt5欠損により、PKC/NF-κBシグナル伝達の異常が観察された。これらの結果は亜鉛トランスポーターが遅延型アレルギー応答において重要な役割を担っていることを示しており、さらにZnt5がPKC/NF-κBシグナル伝達経路を調節する新規の分子である可能性を示唆した。
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Research Products
(3 results)