2009 Fiscal Year Annual Research Report
マスト細胞活性化における亜鉛トランスポーターの役割解明
Project/Area Number |
20590498
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西田 圭吾 The Institute of Physical and Chemical Research, サイトカイン制御研究グループ, 上級研究員 (80360618)
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Keywords | マスト細胞 / アレルギー / 亜鉛トランスポーター / サイトカイン / シグナル伝達 / 遺伝子欠損マウス |
Research Abstract |
申請者は亜鉛トランスポーターとマスト細胞依存的なアレルギー応答における役割を解析する目的で、マスト細胞に発現している亜鉛トランスポーターの発現レベル、局在を調べた。8種類のZntファミリィー分子のなかでZnt2,5,6,7が、骨髄由来のマスト細胞において発現されていることを確認した。Znt5に関しては抗原刺激によって転写が増強されることも判明した。Znt5遺伝子欠損マウスを用いて解析を行ったところ、Znt5が遅延型のアレルギー応答(アレルギー性接触皮膚炎)に必須であることを見出した。これらの結果と一致して、抗原刺激依存的なマスト細胞からのサイトカイン分泌が障害されていることが判明した。また、これらサイトカイン産生低下は、PKC/NF-kappa Bを介するシグナル伝達の障害によって引き起こされる事が示された。以上の結果は亜鉛トランスポーターが遅延型アレルギー応答において重要な役割を担っていることを示しており、さらにZnt5がPKC/NF-kappa Bシグナル伝達経路を調節する新規の分子である可能性を示唆した。これらに加えて、本年度は他の亜鉛トランスポーターに関して調べたところ、Znt2及び、Znt6は抗原刺激依存的に転写の減少が確認され、また、局在については、Znt2はリソソーム、Znt6はZnt5と同様にゴルジに局在することが分かった。Znt2及びZnt6に関しては遺伝子欠損マウスについて、既にキメラマウスの作成に成功しており、順次交配を行うことによりホモマウスを樹立し、アレルギー応答において解析を行う予定である。Znt2及び、Znt6はZnt5と比べて、発現制御や局在が異なっており、これらの亜鉛トランスポーターとアレルギー応答の関係を系統的に解析していくことにより、アレルギー応答における亜鉛/亜鉛トランスポーターの役割解明につながるものと期待している。
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