2010 Fiscal Year Annual Research Report
マスト細胞活性化における亜鉛トランスポーターの役割解明
Project/Area Number |
20590498
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西田 圭吾 独立行政法人理化学研究所, サイトカイン制御研究グループ, 上級研究員 (80360618)
|
Keywords | マスト細胞 / 免疫 / 亜鉛 / 亜鉛トランスポーター / 敗血症 / カルボキシルペプチダーゼ |
Research Abstract |
マスト細胞はヒスタミンなどのケミカルメディエーターを分泌顆粒に有する免疫担当細胞であり、アナフィラキシーに代表される即時型のアレルギー応答に重要な役割を担っている。近年、マスト細胞はアレルギー応答だけでなく様々な病態にも関与している事が報告されており、これまでマウス腹膜炎モデルを用いて、マスト細胞の顆粒に含まれるプロテーゼが分泌されることで敗血症からの抵抗性獲得に関わるなど多様な機能を持つ事が示されてきた。一方、マスト細胞内顆粒には微量必須元素の亜鉛が豊富に蓄積されていることが知られていたが、その意義は不明のままであった。本研究では、顆粒内亜鉛の役割を明らかとする目的で、顆粒に亜鉛を蓄積する亜鉛トランスポーターを同定し、その遺伝子欠損マウスを作成して、マスト細胞顆粒内亜鉛欠乏細胞を樹立し、その機能解析を行った。亜鉛トランスポーターファミリーの中で、発現や局在を詳細に検討したところ、ZnT2/Slc30a2がマスト細胞内顆粒に発現しており、その遺伝子欠損マウス由来マスト細胞においては、顆粒内亜鉛が低下していることが判明した。また、顆粒内に存在する亜鉛要求性のカルボキシルペプチダーゼ(MC-CPA)の活性化も減弱していた。さらに、MC-CPAの活性化との関与が示唆されている敗血症モデルを施行したところ、ZnT2遺伝子欠損マウスで生存率が低下するという結果が得られた。以上の結果は、マスト細胞内顆粒亜鉛が亜鉛要求性MC-CPAの活性化及び敗血症の抵抗性の獲得に重要であることが示唆している。これらの研究成果は、顆粒内亜鉛の免疫応答における存在意義を初め示した重要な知見である。
|
Research Products
(7 results)