2008 Fiscal Year Annual Research Report
核内ユビキチンリガーゼPDLIM2による炎症反応制御機構の解析
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20590499
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 貴志 The Institute of Physical and Chemical Research, 炎症制御研究ユニット, ユニットリーダー (00415225)
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Keywords | 免疫学 / シグナル伝達 / アレルギー・ぜんそく / PDLIM2 / ユビキチンリガーゼ |
Research Abstract |
転写因子NF-κBは、炎症反応を開始する際の要となるシグナル伝達分子であり、このNF-κBの活性化のON/OFFをうまく制御することが、適切な炎症反応の進行に重要であると考えられる。申請者らは、核内蛋白PDLIM2が、NF-κBをユビキチン化・分解することにより不活性化することを明らかにした。本年度は、まず、PDLIM2に結合してPDLIM2の活性を調節する分子の同定を試み、シャペロン分子であるHSP70(Haet Shock Protein-70)がPDLIM2と結合することを見出した。HSP70をPDLIM2とともに細胞に強制発現させると、HSP70はPDLIM2によるNF-κBの分解を促進した。一方、siRNAを用いてHSP70を細胞レベルでノックダウンすると、PDLIM2によるNF-κBの分解が傷害された。このことは、PDLIM2によるNF-κB分解には、HSP70の発現が必須であることを示している。さらに、骨髄由来樹状細胞において、HSP70は、非刺激の状態では細胞質内にのみ存在するが、細胞をLSPで3-5時間刺激すると核内に移行することが明らかになった。以上のことから、樹状細胞の活性化の初期には、核内にはHSP70が発現していないためにPDLIM2は機能しないと考えられる。そして、細胞が活性化されて3-5時間経過すると、核内においてHSP70の発現が誘導され、この時点でPDLIM2はHSP70と共同してNF-κBを分解するように機能すると考えられる。さらに、個体レベルでの炎症反応の解析として、PDLIM2欠損マウスを用いて皮膚創傷治癒の実験を行ったところ、PDLIM2欠損マウスにおいては創傷治癒反応が亢進していることが明らかになった。このことから、PDLIM2は、創傷治癒反応が過剰にならないように適切な時点で終息させるように負に制御していると考えられる。
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