2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590501
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
高橋 宜聖 National Institute of Infectious Diseases, 免疫部, 主任研究官 (60311403)
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Keywords | 免疫記憶 / インフルエンザ / B細胞 |
Research Abstract |
最近我々は、インフルエンザウイルスの主要な表面抗原であるヘマグルチニンの組換えタンパクをプローブとして、ヘマグルチニンに特異的なメモリーB細胞を同定することに成功した。この手法を用い、メモリーB細胞の局在部位を検証したところ、インフルエンザウイルスを気道感染させたマウスでは、IgA陽性メモリーB細胞が肺組織に存在することを見いだした。さらに、細胞移入実験により感染防御効果をレシピエントマウスに賦与できることを明らかにした。この肺に存在するIgA陽性メモリーB細胞が、感染防御を担う新しいメモリーB細胞サブセットであるという仮説を検証するため、DNAマイクロアレイを用いて脾臓メモリーB細胞と発現遺伝子を比較した。その結果、肺メモリーB細胞は、脾臓メモリーB細胞で強く発現することが知られているCD80、sarcospan等の分子を高発現する一方で、脾臓メモリーB細胞と若干異なる遺伝子発現プロファイルを示すことが明らかとなった。また、肺のIgA陽性メモリーB細胞が発現する重鎖抗体遺伝子を解析したところ、脾臓メモリーB細胞と同程度の体細胞突然変異の蓄積が観察された。さらに、ウイルス再感染4日後の肺組織において、ヘマグルチニン特異的なIgA陽性抗体産生細胞が高頻度(>0.1%)で検出されたことから、このメモリーB細胞は迅速な抗体産生分化能を有することが明らかとなった。以上のように、肺に存在するメモリーB細胞はその分化過程で抗体遺伝子の親和性成熟を伴い、迅速な抗体産生分化能を獲得するメモリーB細胞サブセットである可能性が推察された。
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