2008 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピン人看護師の国際移動に関する医療社会学的研究
Project/Area Number |
20590506
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
朝倉 隆司 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 教授 (00183731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 裕子 (小原 裕子) 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (50294989)
朝倉 京子 新潟県立看護大学, 看護学部, 准教授 (00360016)
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Keywords | フィリピン / 看護師 / 国際労働移動 / 看護大学生 / インタビュー / ステイクホルダー / プッシュープル要因 / 海外移動の意向 |
Research Abstract |
フィリピン国マニラ首都圏で看護師の海外への送り出しや受け入れに関わる関係者(ステイクホルダー)に聞き取り調査を行った。医療機関の看護部長、フィリピン政府官僚(保健省、労働省など)、看護系大学学部長、フィリピン看護協会幹部、熟練労働者の海外雇用を援助する派遣会社役員である。調査内容は、看護師の海外労働に関するシステム及び実態とそれに関する関係者の認識、国内外で働くフィリピン人看護師の問題状況の把握、フィリピン国内における看護教育の実態、日本におけるフィリピン人看護師受け入れに関する見解などである。さらに看護学部の大学生にグループインタビューを行った。聞き取りは同意を得て録音し、明瞭に録音できたものを文字おこしして分析した。 フィリピンで看護師の海外への送り出しや受け入れに関わる関係者は、概ね、EPAによる日本での受け入れシステムに懐疑的・否定的な態度を示した。例えば、(1)日本はフィリピン国内で養成された看護師を都合良く日本国内で使うだけで、他国のようにフィリピン国内での看護教育に投資しない、(2)フィリピンで大学教育を受け国家資格をもつ看護師を日本でケア・ギバー(介護福祉士)として働かせる枠組みは不適切である、などである。一方で、フィリピン国内での看護師の過剰供給の状況や、北米などで働くために必要な看護師としての最低限の臨床経験を積むために、宗教や日常生活に制約の多い中東に多くのフィリピン人看護師が赴いている現状をふまえると、たとえEPAの枠組み内であっても、臨床経験などを目的としてフィリピン人看護師が来日する可能性はあると考えられた。 学生の海外移動意向には、親族ネットワーク、専門的研修、高度医療技術へのアクセス、自己成長、海外経験、国内の労働条件(給与など)の悪さなどが関連していることがわかった。
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Research Products
(2 results)