2009 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピン人看護師の国際移動に関する医療社会学的研究
Project/Area Number |
20590506
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
朝倉 隆司 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 教授 (00183731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝倉 京子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00360016)
平野 裕子 (小原 裕子) 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (50294989)
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Keywords | フィリピン / 看護大学生 / 国際移動の要因 / 質問紙調査 / 海外就労へのインテンション / 多項ロジスティック分析 |
Research Abstract |
フィリピンのマニラ首都圏にある9つの大学の看護大学生を対象に、海外就労への意向の要因を明らかにするため、集合調査による質問紙調査(英語)を行った。この大学は、2008年の看護師国家試験の合格率が上位に位置していることを基準に選定した。 4年生1,738人の在学者うち、協力者を募ることが許可された授業に参加した845人を対象とし、709人(83.9%)から回答を得た。平均年齢は19.9歳、76.5%が女性で、42.3%が第1希望で看護のコースを選択していた。81.9%には、家族や親族内に看護師がおり、67.1%には海外で看護師として働く者がいた。 大学卒業後の海外就労への意向は、「すぐ行くつもり」が16.6%、「ある程度経験を積んでから行く」が72.6%、そして「行くつもりはない」が8.9%であった。 これを目的変数とし、多項ロジスティック分析を行った。基準カテゴリーは「ある程度経験を積んでから行く」である。女性と比べ男性の方が「すぐ行く」という意向が強く、海外旅行をした経験がある学生の方が「すぐ行く」意向を選択している。また、家族の経済状態が良い者ほど、「行くつもりはない」を選択している。 看護を大学で選択した理由との関連では、移住の機会や良い収入が動機として強いほどは、「すぐに行く」という選択をする傾向が強く、「行かない」を選択する傾向は弱い。社会に対する責任や個人的な成長が動機として強いほど、「すぐに行く」と比べて「ある程度経験を積んでから行く」を選択する傾向にある。海外での看護師としての就労に対する期待では、キャリアを積む良い機会だと捉えている傾向が強いほど、「ある程度経験を積んでから行く」に対し「行かない」を選択する傾向にあり、個人の夢の実現であると捉える傾向が強いと、「ある程度経験を積んでから行く」に対し「すぐ行く」を選択する傾向が強く、「行かない」を選択する傾向は弱くなる。 その他、フィリピン社会に対する見方、周囲の海外就労に対する価値づけ、フィリピン看護師としての自負心、看護師という職業につく意味や目的が、大学卒業後の海外就労への意向とどのような関係があるのかを明らかにした。
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Research Products
(3 results)