2008 Fiscal Year Annual Research Report
医療従事者側から見た生体肝移植のこれまでの評価と今後の課題
Project/Area Number |
20590508
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
倉田 真由美 Shiga University of Medical Science, 医学部, 客員助手 (50378444)
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Keywords | 生体肝移植 |
Research Abstract |
生体肝移植の軌跡を医療者側の視点から振り返り移植医療が抱える問題点を明らかにし、今後の移植医療のあるべき姿について検討することを目的としている。2008年度は実践を通して明らかとなった倫理学的、社会学的問題点の解明するため、生体肝移植が開始された1989年から2008年3月までに発表された医学系論文および社会学系論文、新聞記事の収集と分析を下記の要領で行った。 【対象】医学系論文は医中誌web(医学中央雑誌)から、生体肝移植のキーワードで該当した2008年3月までに発表された4,035部の論文一覧を作成。うち"現状"、"展望"、""あゆみ"、などのキーワードで論じられている論文600部に解題を付した。3大新聞(読売・毎日・朝日)から生体肝移植について報じられた記事の見出し3,279件を時系列に整理し基礎資料を作成。収集した論考のタイトルと3大紙の大見出しを分析の対象とした。【分析】SSRIトレンドリサーチ2008を用いて分析した。【結果】19年の経緯を概観すると、1989年に着手され、移植の適応や技法を模索しながら進められる前期"開発期"、1995年以降、右葉グラフトが用いられるようになり、ドナーリスクが高くなる一方で、飛躍的に実施件数を伸ばし、肝不全のひとつの治療法として普及していく中期"発展期"、2003年ドナーの死亡が動因となり全国規模の実態調査が行われ、その結果、ドナーの安全性向上のための施策が講じられる後期"転換期"に記事の件数、出現頻度の高い重要キーワードの関係性などから区分できた。この他、今回の調査で生体肝移植の成立過程を示し、20年の史実の中でこれまで議論されてきた医学的・社会的課題を明確にすることができた。また、収集した生体間移植に関する論考、新聞記事を集約した『生体肝移植の変遷と成立過程に関する資料集(1989-2008)』を編集し冊子を作成、希望者が閲覧できるように整備した。
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