Research Abstract |
本研究は,今日において,著しい発展を見せる医療情報システムに注目し,民事司法システムの情報化に関する今後の可能性を一方で模索しつつ,この医療情報システムを裁判所における訴訟審理で取り扱う場合,裁判官や弁護士など,法律専門家の評価にも耐え得るようなモデルとするべく,現時点でのその問題点を析出して確認し,併せて今後の方向性を模索することを目的とする。 本年度については,まず,大阪弁護士会春秋会政策シンポジウム「日本版ディスカバリーをめざして--米国民事訴訴訟制度を参考として--」において,藤本利一が,研究報告を行い,その成果を,「特集I政策シンポジウム:日本版ディスカバリーをめざして--米国民事訴訴訟制度を参考として--」として,Shunjuu83号2頁-44頁(平成22年),とくに,藤本利一「ディスカバリー概説」同7頁-18頁(平成22年)に掲載した。内容は,アメリカ合衆国におけるディスカバリー手続の沿革をたずね,母法であるイギリス法やその継授国であるカナダ法と異なり,その適用領域が,とくに証言録取制度において,拡張運用された根拠を検討するものである。 アメリカ合衆国における調査としては,藤本利一が,平成23年3月26日から同月30日まで,ハーバード大学において,Jesse Fried教授のご協力のもと,資料収集を行いつつ,また,Petrie-Flom Center for Health Law Policy Biotechnology and Bioethics Harvard Law Schoolに,に赴き,我妻学教授のご助力のもと,必要な情報収集と,意見交換を実施する。 なお,昨年度に引き続き,カリフォルニア大学ヘイスティングス校Richard Marcus教授からは,アメリカ民事訴訟制度改革,とくにE-ディスカバリーについて,適宜,必要な情報を得ており,若干の意見交換も行っている。
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