2010 Fiscal Year Annual Research Report
医師の説明義務とコミュニケーション態様に関する基礎的研究
Project/Area Number |
20590513
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
萩原 明人 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (50291521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
信友 浩一 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (90037424)
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Keywords | リスクマネージメント / リスクコミュニケーション / 医事訴訟 / 説明義務 / 医師 |
Research Abstract |
医師の治療行為や判断に過失が無くても、医師の説明が不十分な場合、説明義務違反という法的責任を問われる事例が増加している。しかし、医師の具体的なコミュニケーション態様と説明義務違反の関係に関する知見は得られていない。本研究では、医師の説明義務違反が争点となったわが国の医事訴訟(患者や家族が治療を巡り医師や病院を相手に提起する訴訟)の判決を用い、医師の具体的なコミュニケーション態様と説明義務違反の関係を定量的に評価する。 本年度は、前年度に、わが国の医事訴訟判決、判例データ・ベース、および、判例集(判例時報、判例タイムズ等)を用いて作成した医師の説明態様に関するデータ・ベースを用い、医師の患者に対する説明態様と法的責任(特に、説明義務違反の有無)との関連性を分析した。説明態様に関する変数として、説明時期(処置の前か後か)、説明場所、説明の様式(口頭以外に文書、写真、図等を使用したか否か)、説明の回数(1回か2回以上か)、説明の相手方(患者、家族、両者等)、担当医師の数(1人か2人以上か)、説明の態度(説明のみか、傾聴のみか、両方か)、説明方法(口頭か、文書か、両方か)、説明対象(医師の関心事か、患者の関心事か、平均的な患者の関心事か、以上の複数か)等を用いた。 その結果、説明時期、説明の程度(個別的かつ具体的)、説明の場所が医師の説明義務違反の認定と有意に関連していることが判明した。更に、過去30年年間で、医師の患者に対する説明態様は変遷していることも判明した(以上の知見は、2本の論文にまとめ、現在、海外の専門誌に投稿中である)。
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