2008 Fiscal Year Annual Research Report
がん薬物療法患者における科学的QOL評価による実地医療への有効な支援法の同定
Project/Area Number |
20590516
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小松 弘和 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 講師 (60336675)
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Keywords | 医療の質(QOL) / 癌(がん) / 薬物療法 |
Research Abstract |
本年度は、QOLに関わる問題点の抽出のためアンケート調査を実施した。多発性骨髄腫150例(患者および家族)の解析結果、身体的症状では、「疼痛(骨痛)」、「しびれ(末梢神経障害)」が悩みとして抽出された。精神的症状では、「再発、病状・末期症状の行方」が抽出された。生活においては、「医療費・経済的負担」が抽出された。以上より、第一に各医療者における疼痛緩和ケアの実態の再認識と疼痛軽減の実地技量の向上の重要性が認識された。また、再発慢性骨髄性白血病36例の解析結果、イマチニブ内服治療の高い有効性に基づく総合的な満足度が高く見られる一方、心理的QOLにおいては、心配性、うつ、おっくうなど負の心理を有すること、また、高額な医療費、骨髄検査の痛み、病状説明について負担、あるいは希望を感じていることが明らかになった。骨髄腫患者対象では、がん相談支援室(センター)の存在を知っている割合は14%、緩和ケアが診断した時から始まる医療行為であると認識する割合は21%に留まっていた。両疾患を通じて、将来の病状、再発不安の点についての医療者からの説明の改善、精神腫瘍学からの支援、がん相談支援の認知度の向上からの支援の重要性が判明した。また、がん罹患患者における必要最低限の情報提供を制度化する必要が示唆された。 また、新しい化学療法剤、分子標的薬の登場による医療費高額化が患者の生活面に影響を与えており、支援制度の重要性があきらかになった。
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