2008 Fiscal Year Annual Research Report
手術室データをもとにした新しい病院コストモデルの作成
Project/Area Number |
20590518
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
田中 優 Nara Medical University, 医学部, 助教 (90448770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古家 仁 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70183598)
川口 昌彦 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (60275328)
井上 聡己 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50295789)
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Keywords | 原価計算 / 手術室 / 財務分析 |
Research Abstract |
手術のコスト構造が原価計算的に収入の項目として診療報酬医療材料償還費薬価償還費費用項目として医療材料購入費,薬剤購入費,人件費が現場でデータを取ることで微細にわかった。人工股関節置換術では典型的な手術であり、胸腔鏡下肺葉切除術では内視鏡手術という高額医療材料を使用する手術のでありそれらの特徴を分析。人工股関節手術では高額の人工股関節そのものが償還が利くようになっており、そのままで、医療材料はその分プラスになっている。しかし、胸腔鏡下肺葉切除術では自動吻合器クリップの償還は効かずそのままでは高額のマイナスになる分を内視鏡加算で補う構造になっていた。2つの手術とも薬価差益はほぼプラスマイナスであった。看護師の実労時間と空き時間(手術に携わらない時間)は2:1であり、効率のよい労働シフトに改善の可能性があることも示唆された。県立奈良医科大学は独立法人化したのちに企業会計的に財務諸表の作成を行った。短期の安定性を示す指標である流動比率(流動資産÷流動負債)は0.95と不安定さを示したが、これは会計方式の変更の影響がある。中期の安定性をしめす、自己資本比率は55%であり安定の領域と考えられる。しかしながら、損益計算書上278億円の費用のうち6億円が赤字になっており、累積赤字の増加もコストモデルの構築と財務の改善が急務であることが認識できる。コストモデルが構築後は本学だけでなく県内県外の病院の経営改善にも寄与すると思われる。今後本学では電子カルテと医療材料がリンクしデータの入手のスピードと正確性が高まり診療科別状況把握(診療科別収支)が実行されるので、次年度の研究成果は手術室全体や集中治療室,病院全体までを考慮し、医薬・診療材料費の削減・診療報酬の適正化に貢献できると思われる。
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