2010 Fiscal Year Annual Research Report
手術室データに基づくあたらしい病院コストモデルの構築
Project/Area Number |
20590518
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
田中 優 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90448770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古家 仁 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70183598)
川口 昌彦 奈良県立医科大学, 医学部, 準教授 (60275328)
井上 聡己 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50295789)
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Keywords | 原価計算 / 手術室 / コストモデル |
Research Abstract |
我々は、比較的典型的な手術室コスト構造を調査し、それを応用して病院のあたらしいコストモデルを構築するのを目的とした。奈良医大の手術室では、限界利益率54.8%変動費比率45.2%損益分枝点手術件数は233件と分析できた。手術室の収益構造であるが手術件数が3300件の場合には収入総額に対して変動費43.3%、固定費36.4%、利益20.4%という結果が出た。赤字になる手術は手術時間が増大した場合や高額な医療材料を使用しているときに生じる傾向があることがわかった。それゆえ、定時に手術が終了するように医療従事者全員の協力や医療材料費の突出したものを使用するときには中央手術部と外科医がミィーティングを開くなどしてコスト面での検討が必要と思われる。病院全体の総収益に占める費用の割合は、97%であった。手術室の総収入に占める割合は94%であり、手術室のほうがやや純粋な利益が上がりやすいコスト構造になっていることがわかった。これは手術に対する診療報酬が平均すると高いことと医師人件費も時間で按分した場合短時間になることなどが原因すると思われる。今後のデータ収集の改善点としては、委託費、設備関係費、受託研究費や手術室スタッフの人件費は全体の総額からの按分によって算出しているので直接計測可能であれば精度は向上するであろう。また、制約理論(Theory of constrain)などの導入により会計理論をよくしらない医療スタッフ全員にわかりやすいようにコスト構造や利益の増大方法をつたえることができればさらに協力体制を構築でき、大学以外の地域医療を支える病院や全国の病院に役立つ新しいコストモデルが構築できる可能性があると考えられる。
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Research Products
(2 results)