2010 Fiscal Year Annual Research Report
交通事故の地域及び医学特性などの背景因子の分析に関する研究
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20590519
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Research Institution | Fukuoka Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
澤口 聡子 帝京平成大学, 地域医療学部, 教授 (90235458)
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Keywords | 交通事故 / 地図上解析 / 小児 / 高齢者 / 救急救命率 / 福岡県 / 東京都 / 年齢層別 |
Research Abstract |
警察庁統計により、最近の日本においては小児と高齢者の交通事故の増加が明らかであり、それに地域差があることが明らかである。少子高齢化を課題とする本邦において、福岡県と東京都をモデルとして、小児と高齢者を含む年齢層別の交通事故後救急救命率について、地図上解析により、地域差の把握を試みた。「交通事故現場から救命救急センターへのアクセシビリティーが高いほど(搬送必要時間あるいは搬送距離が短い程)交通事故後の救命救急率があがる」を仮説として、検定を施行した。仮説は、福岡県において成立し、東京都において成立しなかった。交通事故後の年齢層別死亡者数の二次医療圏別の有意差は、福岡県において成人層で見出され、東京都においては何れの年齢層でも認められない。救急救命センターへのアクセシビリティーの二次医療圏間の有意差は、東京都では認められないが福岡県では明らかだった。地図上解析結果により、小児の交通事故後の救急救命率は、東京都では繪原村・八王子市・東村山市で最も低く、福岡県では小児の救急救命率が0.5未満の地域が20町8市3村に及んだ。福岡県では、小児における救急救命率が低い地域は、成人・老人よりはるかに広いが、このような傾向は東京都ではない。福岡県では、各年齢層において、交通事故後の救急救命率が最も低い地域が複数抽出され広範であるが、東京都ではみられない。全年齢層において、東京都では繪原村、福岡県では赤村において、交通事故後救急救命率が最も低かった。全年齢層において、福岡県の赤村において、交通事故後救急救命率が最も低く、赤村の既存の医療機関に救急救命機能をもたせた形でシミュレーションすると全体の状況が改善される。東京都の繪原村では、小児・成人層の救急救命率は0.5未満であり最も低いが、高齢者の救急救命率は高い。東京都では、交通事故後の救急救命率が非常に低い江東区のような地域がある。東京都でも、福岡県でも、小児の交通事故後の救急救命率が低く、東京都でさえも地域格差が存在し、今後の課題であると思われた。
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Research Products
(2 results)