2009 Fiscal Year Annual Research Report
急性期医療における有害事象の自動判定システムの開発に関する研究
Project/Area Number |
20590520
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
梅里 良正 Nihon University, 医学部, 准教授 (60213485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大道 久 日本大学, 医学部, 教授 (60158805)
前田 幸宏 日本大学, 医学部, 助手 (10287641)
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Keywords | 有害事象 / 医療の質 / クリニカル・インディケーター / 再入院 / 術後合併症 |
Research Abstract |
医療資源を効率的に使用して、質の高い医療を提供することは、わが国に限らず世界各国に求められる重要な課題である。本研究は入院医療において、患者にとって有害な事象の発生をできるだけ減少させることで医療の質の向上を図り、同時にこれに伴う医療費の適正化を図ることを目的としている。 有害事象の発生は、peer review方式では多大な労力と時間を要するので、本研究では、入院医療における有害事象の発生を電子化された診療データから自動的に判定することを試みる。電子カルテが先進的に整備されている島根県立中央病院を研究協力施設とし、日本大学医学部附属板橋病院と2施設並行して有害事象抽出の試みを継続している。 初年度は、再入院症例に着目し、再入院の理由が有害事象の発生によるものであるかどうかを電子的に判定するロジックの作成を試み、再入院症例の約6割が有害事象によるものではないことが確定され、また有害事象であったと特定されるものは僅かであった。判定不明の症例については、引き続き新たなロジックの考案が課題となり、初回と再入院の2回の入院における手術の実施状況に着目し、手術実施が両者とも無し、両者とも有り、初回のみに有り、再入院時のみ有りの4パターンに分けて、有害事象の特定につながるロジックの検討を行なったが、症例がさまざまであり、普遍的なロシックの決定には至らなかった。本年度は、対象を単回入院全例に拡大し、同様に有害事象の特定ロジックの検討を行なった。単回入院では、周術期の有害事象、再手術、医療関連感染、誤嚥性肺炎の発生、転倒・転落の発生、褥瘡の発生などが電子データから特定できるかの検討が行なわれた。この結果、「周術期AEの判定ロジックV02-20091030版」が作成された。今後その他の有害事象について、順次判定ロジックとして確定していく予定である。
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