Research Abstract |
研究初年度は様々な疾患について測定された健康効用値を文献的に集積する作業と,海外,特にイギリスNICEでの効用値測定,費用効用分析の動向について調査するという2点について研究を実施した. 健康効用値について,海外では, EQ-5D, HUI, SF-6D, 15Dなど測定ツールを用いた効用値測定がほとんどであった.特に報告が多かったのはEQ-5Dで,疾患を問わず,あるいは介入前後でのデータが実測値として報告があった.各測定ツール間の比較では, Athma, Epilepcy, Stroke, Musculoskeletal disorder, Cardiovascular disorderなどにおいて,EQ-5D>SF-6D>HUIの関係が認められた.それぞれの測定範囲(最低値)が違うことから単純な比較はできないが,測定特性の違いに留意しながら,測定することと,報告されているデータを慎重に使用することが求められるものと示唆された. 海外での医療技術の評価(Health Technology Assessment: HTA)について,イギリスNICEでは,薬やデバイスについてのQALYを用いた費用効用分析を実施し,それらの結果を勧告として報告しているが,そこで使われる健康効用値測定のためのツールは原則としてEQ-5Dであった.カナダのCADTHでは,EQ-5Dに加えてHUIも用いられていた. HTAに関連して,新薬の承認申請の際に費用効果分析を添付する必要がある国々は欧米だけにとどまらず,近年では韓国(HIRA),台湾(CDE)などアジア各国にも広がり始めており,この分野での日本の遅れが指摘されるようになってきており,我が国でも導入される日がそう遠くないと思わざるを得ない上に,そのための準備が必要であると考えられた.
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