2010 Fiscal Year Annual Research Report
介護保険対象高齢者の経口摂取機能改善を目指した介護支援の連携的研究
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20590527
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Research Institution | Himeji Dokkyo University |
Principal Investigator |
福永 真哉 姫路獨協大学, 医療保健学部, 教授 (00296188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 正浩 姫路獨協大学, 医療保健学部, 講師 (00434952)
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Keywords | 介護老人保健施設 / 嚥下造影検査 / 認知機能検査 / 摂食嚥下障害 / 経口摂取機能 / 知的機能障害 / 注意障害 / 意欲の低下 |
Research Abstract |
本研究の目的は、介護老人保健施設に入所中で脳血管障害などの基礎疾患により、認知機能障害などを合併した摂食嚥下障害をもつ高齢者に対し、介護保険制度を活用した適正で現実的な経口摂取機能向上の支援を行うための方策を検討することにある。研究最終年度である本年度は、前年度までに作成した調査票に基づき、2ヵ所の介護老人保健施設において、本人と家族の同意が得られた入所者から年齢、性別、診断名、現症、日常生活動作レベル、主介護者の続柄、転帰等の基本情報の提供を受けた。加えて、入所直後に日常診療として施行された嚥下造影検査、認知機能検査の結果と、対象高齢者の介護老人保健施設スタッフによる実際の食事状況の観察ならびに、主介護者である家族の対象高齢者の摂食嚥下状態に対する認識などの調査を行い、介護老人保健施設の対象高齢者の摂食嚥下障害を引き起こす要因と、現実的な経口摂取機能向上の支援を行うための方策について検討した。対象は介護老人保健施設に入所し、摂食嚥下障害を持ち、平成21年7月から平成22年3月までに嚥下造影検査を行った高齢者33名(男性18名、女性15名)である。年齢は71歳~97歳(平均年齢83.5歳)で、原因疾患は脳梗塞20名、頭部外傷2名、神経変性疾患5名、認知症性疾患3名、不明3名であった。研究の結果、知的機能障害、注意障害、意欲の低下などを合併した対象高齢者ほど、摂食嚥下機能が低下し、経口摂取の自立が不可能となり、介護者による介助を必要とすることがわかった。しかし、重度の摂食嚥下障害をもつ介護老人保健施設入所高齢者の家族ほど対象高齢者への摂食嚥下状態に対する関心が薄く、医療提供者との間で摂食嚥下障害に対する認識のずれが生じ、高齢者自身の知的機能障害、注意障害、意欲の低下とともに、在宅において対象高齢者の経口摂取自立や、摂食嚥下支援を行う際の阻害因子になることが示唆された。
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Research Products
(6 results)