2010 Fiscal Year Annual Research Report
国際間比較から学ぶ科学的病院マネージメント手法の研究
Project/Area Number |
20590530
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
山内 一信 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 教授 (90126912)
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Keywords | 病院マネージメント / SWOT分析 / バランススコアカー / シックスシグマ / メディカルツーリズム / 医療の質 / JCI(joint commission international) / PDSA(Plan, Do, Study, Action) |
Research Abstract |
本研究は、より良い医療提供体制を整えるための病院マネジメント手法を国際的見地から明らかにすることである。特に、(1)各国の病院マネジメントの手法の特徴、(2)病院パフォーマンスの評価法、(3)マネジメント手法と病院パフォーマンスとの関係性、(4)ベストプラクティスの要因解明とその達成への方法の4点を明らかにする事である。今年度はカナダTorontoの病院(London Health Science, Peter Borough Regional Health Center)、および米国RochesterのMayo Clinicを訪問、調査した。カナダでは、医療提供体制は税を資源として行われているが、運営の管理責任も厳しく問われ、運営上の不備があると責任者は責任を負うことになる。病院の運営上の責任者は医師ではなく、事務系スタッフのトップである。病院の位置付けを病院職員のみならず社会にもアピールするために病院の入り口にはビジョン・ミッション・バリューが明確に示していた。メイヨークリニックでは、クリニックの価値を健康回復が第一であるという視点におき、それを実践するためにチーム医療体制を整え、チーム医療が大事であるという価値観を構成員全員が共有するべきであると強調していた。クリニック運営における重要決定事項は医師主導で行われ、マネジメント者よりも医療者が大事であるとの考え方も重要である。病院の価値は質を費用で除したものと定義し、価値を上げるためにいくつかの手法が用いられていた。質を測るための基準として、EBMが用いられた。運営の改善および医療システムの効率を上げるためには、PDSA、シックスシグマやLEANの手法を用いた。医療のレベルを上げるために、医療者あるいは医学生への教育も重要視され、医学教育の設備の充実も際立っていた。医師を含めた従業員の多さにもかかわらず、運営上のバランスは整えられており、患者第一主義の価値観を共有し、実践に活かすことが医療の運営にも大切であることが示されていた。これらの知見は病院マネジメントを考える上で極めて有用であった。
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