2008 Fiscal Year Annual Research Report
経済評価研究に基づく新たな臨床ガイドラインの推奨基準設定に関する研究
Project/Area Number |
20590531
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
濱島 ちさと National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, 検診研究部, 室長 (30286447)
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Keywords | 臨床ガイドライン / 経済評価 / 推奨基準 / 科学的根拠 / 医療資源配分 |
Research Abstract |
1)英国NICEでは診療ガイドライン作成に医療経済学の専門家が参加し、有効性評価と共に経済評価が行われている。その目的は、有限な医療資源を活用するために最適な医療サービスを選択し、優先度を決定することにある。2003年液状検体法が子宮頸がん細胞診として推奨がされたが、液状検体法の高い費用効果性が大きな影響を与えたと考えられる。 2)わが国において平成20年度に公表された子宮頸がん検診がん検診ガイドラインでは細胞診従来法と細胞診液状検体法が推奨されている。そこで、英国NICEと同様に経済評価が基づく導入可否の判断を行うために、わが国における費用効果分析の可能性を検討した。 3)従来法の不適切検体の割合及びわが国おける細胞診従来法と比較した液状検体法の精度に関する研究が必要であることが判明した。一方、費用については、液状検体法の検診費用に大きな影響を与えるものは、大きく分けると液状検体法の固定費用、消耗品費、両者の検体処理能力の差による人件費である。ヒアリング調査に基づき、液状検体法の費用を推定すると、消耗品を含めた機器に関する費用は従来法に比してThinPrep 2000とSurePathそれぞれ、約603〜1185円、約229〜681円の費用増加となる。これを現状従来法の費用1500円と比較すると、ThinPrep 2000とSurePathそれぞれ、約40.2〜79%、約15.3〜45.4%高くなる。 4)子宮頸がん検診の経済評価を進めるにあたっては、現状の従来法に対する診療報酬を前提にすると、消耗品の価格が高いことが液状検体法の経済評価の結果に影響する結果となった。 5)わが国においてガイドラインと平行し経済評価研究を行うには、疫学データと共に費用データの集積が必要である。今後は英国以外の情報も収集しつつ、わが国の臨床ガイドラインにおける経済評価研究の有効利用について検討する。
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Research Products
(21 results)